« 3月10日付で「はらだソーシャルワーカー事務所」をオープンしました | トップページ | ようやく取り調べ可視化の動きが »

2011年4月 9日 (土)

佐賀の知的障がい者取押え死事件について

 「なぜ息子は死ななければならなかったのか」-。知的障害がある安永健太さん=当時(25)=が佐賀市の路上で警察官に取り押さえられた直後に死亡したのは、2007年9月のことだ。悲劇から約3年半、父親が抱いた疑念は、司法の場でも晴らすことはできなかった。

 この事件で遺族の付審判請求による特別公務員暴行陵虐致傷罪に問われた佐賀県警の巡査長(30)に対し、佐賀地裁は無罪を言い渡した。公判では巡査長による殴打行為の有無が争点となり、裁判長は「犯罪の証明がない」と判断した。

 付審判請求は、公務員の職権乱用や暴行など公権力の暴走をチェックする役割を担う。検察官の不起訴処分に納得できない場合、被害者側が裁判所に刑事裁判を求めることができる制度だ。

 ただ、その門は極めて狭い。最高裁によると、過去50年で約1万8500人を相手に請求されたが、裁判所が審判に付すと決めたのはわずか18人だ。そのうち有罪が確定したのは6人という。

 困難を覚悟で付審判請求をした父親ら遺族の思いとは何だったのか。それは、事件の真相解明にほかならない。

 安永さんは車道を自転車で走行中に停止していたバイクに衝突し、駆けつけた警官に取り押さえられた。「適正な保護活動だった」との説明に終始する県警に対し不信感を抱いた遺族は、自ら聞き込みに回り、「警官が殴っていた」との証言も得た。それだけに、遺族の審判に対する期待は小さくなかった。

 だが結果は、巡査長の弁護人が「検察が不起訴にした証拠がそのまま採用された」と言うように、検察判断が追認された。これでは遺族が「現場で何があったのか何も分からなかった。判決は納得できない」と落胆するのも理解できる。

 今回の付審判請求をめぐって、障害者団体などの支援者が全国から集めた賛同署名は約11万人に上った。障害者自立支援法に基づき障害者が地域に出て行く機会が増えるなか、このままでは同じような事件が起こるのではないか、との危機感が関係者の間で広まったためだ。

 専門家によると、知的障害者の中には体に触られただけで取り乱し、大声を出すこともあるという。長崎県で障害者支援に取り組む社会福祉法人の理事長は「警官など市民の命や安全を守る立場の人たちが障害者の実態を十分に把握していないのが問題だ」と指摘する。

 今回の事件では、取り押さえた警官らが健太さんを障害者と気付かなかったのは事実だ。いかに県警が保護行為の正当性を主張しても、知的障害者に対する理解不足があったことは否定できまい。

 佐賀県警は障害者に関する研修拡充など再発防止に取り組んでいるが、時がたって「警官の意識も薄れつつある」(県内の障害者施設関係者)との声も聞く。二度と悲劇を繰り返さないために、警察はもとより社会全体で障害者への理解を深める努力を続けていきたい。

=2011/04/05付 西日本新聞朝刊=

しばらく記事を書けませんでした。環境が変わったばかりでバタバタしています。来週からはがんばって書きますね。

さてさて,この事件は障がい福祉の世界では結構有名な事件です。亡くなった安永さんは自閉症を伴っていたようです。突然予想もしえぬ警察官に取り押さえられるという行為にパニックを起こしたのではないでしょうか?

知的障がいは外見上の障がいはないので,わかりにくいと言えましょう。しかし,警察官は社会的に弱い立場の障がい者を知るべきであろうし,私は警察学校で地域の障がい者施設に行ったり,福祉関係者による講義を受けるなどの教育を受けるべきだと思います。

アメリカのシカゴでは知的障がい者の取り調べるための専任の警察官が存在していたりします。法の下の平等の観点から,日本の司法の場でもそういった専門官が必要であると私は強く思います。

ただ,相手がだれであれ,故意でなくともやりすぎはいかがなものかとも思うのです。

|

« 3月10日付で「はらだソーシャルワーカー事務所」をオープンしました | トップページ | ようやく取り調べ可視化の動きが »

司法福祉」カテゴリの記事

心と体」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

法律」カテゴリの記事

福祉」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/181558/51339865

この記事へのトラックバック一覧です: 佐賀の知的障がい者取押え死事件について:

« 3月10日付で「はらだソーシャルワーカー事務所」をオープンしました | トップページ | ようやく取り調べ可視化の動きが »