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2012年7月

2012年7月31日 (火)

姉殺人事件,不当な求刑を超える懲役20年判決~障がい者差別だ!

 姉を殺害したとして殺人罪に問われた被告(42)の裁判員裁判で、大阪地裁(河原俊也裁判長)は30日、懲役16年の求刑を超える懲役20年を言い渡した。

 判決は、被告が広汎(こうはん)性発達障害の一種、アスペルガー症候群と認定。母親らが被告との同居を断り、被告の障害に対応できる受け皿が社会にないとして、「再犯の恐れがあり、許される限り長期間内省を深めさせることが社会秩序のためになる」と述べ、殺人罪の有期刑の上限が相当とした。

 被告は小学5年生で不登校となってから、自宅に引きこもる生活を送っていた。判決は、引きこもりの問題を姉のせいと思い込んだ被告が、姉に恨みを募らせた末の犯行と指摘。動機にアスペルガー症候群が影響したと認定する一方、「最終的には自分の意思で犯行に踏み切った」と述べた。また、判決は被告の態度にも言及し、「(障害の)影響があるとはいえ、十分な反省がないまま社会復帰すれば、同様の犯行に及ぶことが心配される」と指摘した。(毎日jp)

広汎性発達障害なので再犯の恐れがあるから刑務所に長く入れておく!?なんて時代錯誤的なんでしょうか.責任能力という点では,完全かどうかは別にしてあったとは思いますが...

私はこのブログに何度も書いているとおり,広汎性発達障害の人が加害者になる事件の多くは,広汎性発達障害を認知していない本人とご家族や周囲の人というところの問題から起きています.確かに障がい特性による犯行態様はありますが,それイコール広汎性発達障害だから起こすというものではありません.ですので長期間社会から隔離することに意味はないと思います.

これは障がい者に対する偏見と差別にしか思えません.被告が再犯するのではなく,広汎性発達障害が再犯するのであるから長期間隔離するということですよね.

そもそも,どんな障がいのある人も障がいのない人も犯罪を犯した人もそうでない人もが最低限度の生活をおくれるようにするのが国の役目ですし.障がいがある受刑者の社会復帰を図るために地域生活定着支援センター等の施策とられているのですよね!そのために多くの人が奔走しているのですよ.そして,社会復帰しようとしている障がい者がいるのです.

受け皿がない!?それを作るのが国の役目でしょうが<`ヘ´>受け皿がないから刑務所?それも殺人の最長の20年!ハァーッ?更生保護は本来は国の仕事でしょうが.

障害者権利条約を批准する予定の国ですよね日本は!この判決は司法が犯した権利侵害であり障がい者差別であると思います.

断固控訴するべきですし,日弁連も声を上げるべきではないかと思います.また,障がい者団体の皆さんもこれを許してはなりません.

医療観察法の対象でない人も保安処分としての懲役刑に処せられてしまいますよ.

絶対に控訴するべきです.

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2012年7月29日 (日)

ホームレスと社会Vol.6発刊予定

ホームレスと社会Vol.6(明石書店)「ホームレスと社会」編集委員会 編が7月31日に発刊することになりました.昨日献本が届いていました.

私はこの本の特集1「刑事施設等出所者の地域生活定着支援」に1本書かせてもらっていて,すでに5月に脱稿していました.

「触法障がい者に対する刑事裁判における福祉的支援」という,いつものテーマなのですが,まとめ的な論文になったかなぁとも思っています.

他に書いておられる皆さんも,龍谷大の浜井浩一先生や追手門大の古川隆司先生,たびたび一緒になる朋友(?)の山口県立大の水藤先生などなど,インタビューも山本譲司さんが登場しているなど,結構読み応えがありますよ.

ホームレスや低所得者福祉の問題に興味のある人にも,刑事司法福祉に興味のある人どちらにも参考になる本かと思います.ホームレスや低所得者福祉と刑事司法福祉はどうしても関連が深いですから.

この本は,アマゾンでも販売しますから,アマゾンに出たらこのブログの本屋にもおきますね.書店でもお買い求めください.

明石書店のこの本のHP http://www.akashi.co.jp/book/b103223.html

103223

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2012年7月23日 (月)

大津市のいじめ事件で思う②

まだ,捜査中の事件であり,民事も係争中ですからはっきり言い切ることはできないことが前提としてです.

本件の場合,いじめがあったとして,教育委員会という組織の閉そく性というか隠ぺい性というものを感じました.責任をとにかく認めたくない.いじめで学校の責任を認めれば,これから教師はいじめがあるたびにびくびくしないといけない?といったような感じが伝わってきます.

教育という場面でこれでほんとにいいのでしょうか?

私は,いじめに遭ったこともありますし,いじめた側になったこともあります.しかし,僕らの頃の教師であれば,見つければ体罰をしてでも叱ってくれたと思います.

いじめをした子どもたちは刑事手続きにのるかもしれない,しかしながら,いじめを見過ごした大人たちは,人事的な処分や民事での慰謝料といった制裁はあるものの,刑事処分は無い.

特に教育現場で,しかも,義務教育の現場で公務員たる公立学校の教師が,知っていたのに止めなかった,訴えが本人や他の生徒からあったのに対応しなかった?

結果,暴行や恐喝を受けて,自死ということになった.

私は,刑法を改正してでもこういった場合,教師といったような直接監督責任のある大人に刑事責任を取らせるべきであると思います.監護する側に刑事責任がなく,監護される側が少年の刑事司法手続きにのる?矛盾を感じます.

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2012年7月22日 (日)

大津市のいじめ事件で思う①

大津市のいじめ事件については,毎日のように報道がなされています.

ここにきて,司法が入り始め大規模な事情聴取も行われているようです.被害者とされる児童の保護者も暴行や恐喝容疑で告訴したと報道されていました.

この事件,加害少年側の保護者がビラ配りをしたり,すでに,学校名,主たる加害者の名前や写真,さらには保護者の写真や名前まですでにネットで出回っている有様で,それはそれで嘆かわしいことです.

もし,捜査の結果,加害少年たちが検挙,補導されたらどうなるのでしょうか.

あえて,検挙と補導を併記したのは,犯行時14歳になっていれば,犯罪少年,14歳未満であれば触法少年となってそのあとの刑事司法手続きが違うのです.

ある芸能人が自身のブログに全員の実名と写真をあげて「みんな少年院に入れてしまえ」と言っていたようですが(すでにアクセスできないようになっているそうです)そうなるでしょうか?

犯罪少年であれば,警察→検察→家裁というルートをたどり,この事件の場合は,おそらく家裁での審判不開始ということはなく審判がなされるでしょう.その結果,保護処分となるのか,そうではないのか,保護処分となれば,少年院送致なのか保護観察処分なのかというところでしょう.また,少年の心理や精神の状態を調べるための観護措置,つまり少年鑑別所への収容ということもあるかもしれません.

触法少年であれば,福祉の措置が優先されます.つまり,警察から児童相談所へ通告がおこなわれます.通告を受けた児童相談所が,児童相談所で児童福祉法の措置をするにはふさわしくない重い案件や,否認していれば,家庭裁判所に送致され,家裁での審判が開かれて保護処分ということになります.

ちなみに,医療少年院は現在12歳以上であれば送致することができます.したがって,触法少年の少年院送致(医療少年院)は可能ですが,殺人などでもない限りありえませんし,今のところ例がありません.

私は,触法少年のための施設を見学したことがありますが,机や椅子が学童向けだったり,母親役の女性教官も配置するということでした.

今回の件では,触法少年の少年院送致はないでしょう.児童自立支援施設(児童福祉法の施設)の可能性はもちろんあります.

ということで,立件されて事件の犯行時の年齢が1つ違う,極端に言うと何か月か違うだけで処分が変わってしまうのです.

ただこの問題は,少年の刑事司法手続きにのったのらないだけで解決するものではないと思っています.もっと深いところの真実が明らかにならないといけないのではないでしょうか?

そして,少年法は国親思想に基づいていますが,もっとも本件に責任があったのは大人,保護者だけではなく,当事者の大人である教育者の皆さんではないでしょうか.「教え育てる」ことの範を示していただきたいと思います.

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2012年7月14日 (土)

医療保護入院廃止か?~毎日新聞社説から~

多くの人が長年疑問に思い、必死に変えようとしてきた人もいるのに変わらなかったことが、動き出している。精神科医療における保護者制度である。厚生労働省の検討会は精神保健福祉法の「保護者の義務」や医療保護入院の廃止を打ち出した。保護者に過度の責任を負わせ、患者自身の人権侵害にもつながる制度の廃止はぜひとも実現すべきだ。

 精神科への入院は自らの意思による任意入院、自傷や他害の恐れがあるときに都道府県知事の判断による措置入院、保護者の同意で行う医療保護入院がある。患者が病気の自覚がない場合にも治療に結びつけるため保護者には「治療を受けさせる」「医師の指示に従う」「患者の引き取り」などの義務が法で定められている。統合失調症などは親の育て方と関係なく誰にでも起こり得る疾患だが、どんなに老いても親は重い責任を負わされる。患者にとっては親の同意だけで強制的に入院させられるわけで、家族間のあつれきや長期入院の原因ともされてきた。

 医療保護入院などは1900(明治33)年に制定された精神病者監護法を起源とする。精神疾患への偏見や迫害から家族が自宅に座敷ろうを作って患者を隔離してきたことを改善するためと言われるが、親に責任を負わせる実態は続いてきた。

確かに保護者の存在は,手続きが煩雑になります.社説には書いていませんが,保護者となる人がいない場合は市町村長が保護者となりますが,それも煩雑といえば煩雑.

しかし,措置入院というほどではないが,強制力が必要な場合の入院ということでは医療保護入院は有効です.

措置入院の場合,精神保健指定医2名の「措置相当」という判断が必要であり,24条通報の場合でも,措置入院ではなく医療保護入院というケースも多いです.人権上の問題もあるのでしょう.

10年ほど前に強盗未遂を起こしたケースでも24条通報で入院しましたが,医療保護入院でした.医療保護入院に一定の拘束力があるからです.

保護者制度はなくすにしても,ご本人のためにも一定の強制力が担保することが必要かと思います.

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2012年7月 7日 (土)

執行猶予期間満了のお知らせをいただきました~本当にありがとう~

先だって以前公判時からかかわった障がいのある人から,無事執行猶予期間を満了した旨のお便りをいただきました.執行猶予は執行猶予でも,ダブル執行だったのです.つまり,執行猶予期間中の起訴で2回目の執行猶予期間が満了したということです.

在宅起訴の人でしたが,障がい認知ができていなくて,障がいについて説明するところからはじめたケースでした.

障がい認知ができてからは,どういったことをやりたいかという話になり,通所事業所に通うことを自ら選択していました.その通り自宅から通所事業所に毎日通っていました.ご家族も必死に協力された結果かと思います・

結果として,小さなブレはあったようですがこのダブル執行を無事終了することができました.ご本人も努力されたが,ご家族も大変尽力されたし,勿論受け止めた事業所も努力されておられました.皆さんに感謝感謝です.

今は遠くにおられるこの時の弁護人にも連絡しておきました.

お手紙を読んで,涙が出るほどうれしかった.更生してくれてあらためて本当にありがとう.これからも今の落ち着いた生活を続け,自立に向けてがんばってほしいですcatface

こういうことが,支援実践の糧になります.がんばるぞ!

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2012年7月 6日 (金)

手話での拘置所面会~大阪拘置所で思ったこと~

大阪拘置所の面会受付窓口のところに,手話を使った面会は,手話を理解する職員がいない場合,筆談でお願いすることがある旨の掲示がされていました.

昨年9月の報道です

大阪拘置所(大阪市都島区)で勾留中の聴覚障害がある男性被告(59)=殺人などの罪で起訴=と面会した知人に対し、拘置所が手話を禁止していたことがわかった。本来は拘置所側が手話の分かる職員を立ち会わせたり、手話通訳人を手配したりするが、大阪拘置所は筆談を求めていた。大阪矯正管区は15日付で改善指導したという。

本来あらかじめ,面会の連絡を拘置所側にすることで,手話通訳等手話を理解する人を用意することになっているそうなのです.この時は,前もっての準備がされていなかったんでしょうね.

ただ,聴覚障がいの人が前もって連絡しようにも,拘置所のFAX番号やメールアドレスは公開されていないので連絡しようがありませんから,健聴者の助けが必要となってきます.

どうして手話が理解できる職員が立ち会わないといけないかというと,私が考えるに,本来,暗号や符丁などを面会時に用いるのは禁じられているのです.手話を理解できない人にとっては,暗号や符丁と同じようになってしまうので,筆談を求めるということですね.

確かに,暗号で脱獄の打ち合わせなどをされると困りますものね.

弁当持ち,長シャリ,あかおち,びっくり箱などのムショ言葉は官と収容者の共通言語なので大丈夫なのでしょうね.私も累犯の人の時は使ってしまいます.

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2012年7月 5日 (木)

ある殺人事件の判決で思う~知的障がいのある女性被害者~

ビジネスホテルで99年、知人女性を殺害したなどとして、殺人罪などに問われたM被告(52)の裁判員裁判の判決で、O地裁は4日、求刑通り懲役18年を言い渡した。

 判決によると、M被告は99年12月、ビジネスホテルで、女性(当時40歳)を蹴るなどして殺害した。M被告は女性を殺害後に逃亡したが、11年2月に逮捕された。

 裁判長は「女性が親から受け取る送金をあてにしていたが、送金のめどが立たなくなったことにいら立ち、知的障害者で弱い立場の女性を虐待し、執拗(しつよう)に強度の暴行を加えた。殺害は計画的ではなく未必の殺意にとどまるとは言え、残忍だ」と述べた。【坂口雄亮】(毎日新聞)

この事件,今まで全く気付いていなかったのですが被害者は知的障がいのある女性だったんですね.

これほどではなくても,知的障がいのある女性に監禁被害や避妊なしの性交を強要し妊娠させられるケース,この事件にあるような金品の搾取などなど,特に男性が巧妙に自身に恋愛感情を抱くように仕向けるケースが多いですね.

女性の触法障がい者の場合でも,男性に巧みに誘導されているケースや,直接ではないものの,男性に弄ばれた結果,触法行為に至ったようなケースはしばしばあります.

障がいのあるお母さんの児童虐待でも,よくあるパターンが父親のDVや失踪から起きていたりします.そういった障壁を障がいがあるために解決できないといったことが多いです.

ただし,虐待行為そのものは犯罪なので,理由があるからと言って許されるものではありません.

「守る」ということの大切さをあらためて考えさせられました.

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2012年7月 4日 (水)

久しぶりに大拘(ダイコウ 大阪拘置所)に行きました

今日はある被告人に会いに大拘(大阪拘置所)に行きました.

2年ぶりの大拘です.久しぶりに行くと,建て替え工事が始まっていて,正門が仮設になっていて変な感じでした.お気に入りだった第2待合室は別の用途に使われていてつかえず.旧待合室で1時間ほど待ちました.

どうも待合は完全禁煙になったようで,きわめてクリーンでGood!

コップ式のジュース自販機がなくなっていました.

他は変わらずで,放送で番号と12号室へと言われて面会室へ,木の扉をバシャーンと開けて中へでした.懐かしい感じ.3年前は,控訴したケースに会いに毎週大拘に一年弱通っていたのです.

拘置所の面会待合室は,小さな子どもとお母さん,あと暴力団関係者と思しき人が多いなぁーとつくづく思うのです.

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