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2012年9月 6日 (木)

少年法の見直し案について思うこと

 法務省は4日、少年法の見直しについて今月7日に開催する法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する要綱を公表した。少年事件の法定刑について5年引き上げるなどの内容。

 要綱では、犯行時18歳未満の少年に無期刑を言い渡す場合、10年以上15年以下の有期にすることができると定める現行規定について、上限を20年とする。また、判決時20歳未満の少年に刑に幅を持たせる「不定期刑」を言い渡す場合、現行規定では短期と長期の上限を5年と10年としているが、それぞれ10年と15年に引き上げる。

 また、家裁送致後に少年審判を受ける加害少年が国費で弁護士を付けられる「国選付添人制度」について、殺人や強盗など重大事件に限られた現行の適用範囲を、窃盗、傷害、詐欺、恐喝などに拡大。家裁送致前に国費で弁護士を付けられる「被疑者国選弁護制度」の適用範囲と同じにし、資力がない少年でも一貫した弁護士のサポートを受けられるようにする。

 一方で、検察官が少年審判に出席できる「検察官関与制度」についても、同じ範囲に適用を拡大。窃盗や傷害などの事件でも、検察官が審判に立ち会い、意見を述べたり、少年に質問ができるようになる。(毎日新聞)

 本件については,ソーシャルワーカーとして,また司法福祉の研究者の立場からして思うことがいろいろあります.あくまでも,福祉の立場,特に実践者としての立場から思うことです.

 まず,重大な犯罪に対し一定年齢に応じた刑事罰が科せられることは当然であると思います.しかし,少年の場合,少年の可塑性を重んじ,国親思想による保護の考え方がまずはベースになっているということを忘れてはいけないと思います.
 あってはならないのは,上が上がったことによって逆送のハードルが自動的に下がってしまうということです.つまりは,今までは家裁送致で保護処分であったような事件が,刑事処分相当の意見が付けられて家裁に送られ逆送されてしまうという事態です.

 現在,14歳以上であると刑事処分を科すことができますが,16歳未満の少年で逆送された事件はありません.しかし,上が重くなったことで下も重くする,つまり,いままでとちがって14歳,15歳であってもすぐに刑事処分相当の意見が付けられてしまうのでは少年法の理念からしてどうなんであろうかと思うのです.重罰化しても,16歳未満の少年への刑事処分は今までのように慎重に判断するべきかと思います.

 また,刑事裁判においては,少年審判のような公的な調査がされないのも改正すべきではないでしょうか,少年審判と刑事裁判とのギャップが大きいような気がします.事件によって精神鑑定はなされたとしても生活環境調整が公的にされないのであれば,少年を裁くとう点でいささか材料不足なのではないかと思えます.もっとも,こういった判決前調査の必要性は少年の刑事裁判だけに限ったことではないかと思います.

 刑事裁判にはなったが,審理した結果55条移送で家裁に事件を戻すという判断が本来もっと検討されるべきで,そのためにもこういった判決前調査が大切なのでしょう.もっともこれは,私だけの意見ではありません.

 さらに,特に可塑性のある少年に対して刑事罰を科した場合,更生保護の充実も重要であろうと思うのですがその点はあまり問題になっていません.更生保護はある意味社会防衛の要素もあるのですから広く一般市民の福祉にかかわることです.重罰化と更生保護の充実は一体化するべきかと思います.

 付添人については,少年審判が非公開であること等をかんがえると,事件によってはソーシャルワーカーももっと積極的に付添人にするべきではないでしょうか.保護処分の場合は特に社会内処遇となった場合の生活環境の調整が問題となってきます.少年事案に関わっていると痛感する部分です.司法手続きの中に福祉的支援を組み入れることで,更生に向けての効果が上がると思います.現実,福祉的支援を入れることで社会内処遇がうまくいき自立更生に向かっていくケースは多くあります.

 根本的な問題として,一般市民には少年法の保護処分は刑罰であるという認識されているケースが多く,保護処分というものをもっと啓発するべきです.たしかに,社会内処遇であっても一定自由を奪われますから刑罰的な要素がOではありませんが,刑事処分の刑罰を重くするのであれば,今一度少年法の理念を啓発するべきではないでしょうか?

留岡幸助→感化院などというのは,福祉関係者でもあまり知らないですよね.

 

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