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2013年2月28日 (木)

2月26日のアスペルガー障害のある被告人への1審求刑越え判決事件控訴審判決

NHK大阪ニューステラス関西でコメントを出していた姉殺害のアスペルガー障害のある被告人への1審求刑越え判決事件の2月26日控訴審の判決です.1月29日の控訴審は傍聴していたので,棄却はないだろうと思っていましたが,やはり原判決破棄で新たに判決が言い渡されました.

結果は,1審求刑懲役16年で懲役20年だったのに対し控訴審判決では懲役14年でした.量刑についての評価は私の立場では個人的な主観になるので,ここでは差し控えます.

問題は,判決内容です.判決内容を見ると,憲法等の法令違反等は否定していますが,量刑判断において,アスペルガー障害の影響を重視していない点,受け皿がないという点については是認できないとし,反省していない点についてもアスペルガー障害の影響を認め,被告人なりの反省という点についても肯定しています.

長年の引きこも理による2次的精神障害の影響,動機の形成や殺意に至った点に与えたアスペルガー障害の影響についても指摘がありました.コミュニケーションの障害からくる歪んだ認知の形成という点にも踏み込んでいます.
歪んだ認知に至る遠因は,アスペルガー障害そのものよりも,それに気が付かれることのなかった環境にもあるといったことの指摘のようにも思えます.

また,当たり前のことですが,アスペルガー障害のあることを被告人にとって不利にすることも否定しています.

一方で,再犯可能性については,1審で鑑定医が「再犯可能性はない」と証言しているのですが,触れられていませんでした.
私も裁判員裁判で障がい像,もっとも,私は福祉の立場なので社会や生活における支障について証言することもありますが,裁判員のみならず司法にその人の障がいを理解してもらうことは難しいと感じます.特に発達障がいなどといわれている障がいによる社会的な支障は理解しづらいものがあると思います.

本件においても,こういった障がいを知るものならば,動機や行為などに本人の障がいから起因しているだろうと予想しえる部分は多々あるのですが,そういった人が関わらないと1審のようになってしまうというということが露呈したともいえましょう.

1審の段階で精神鑑定のみならず,情状鑑定としての更生支援計画やそれに基づいた証言がなされていれば,違った結果になったのではないかと思います.

さらに,もう一歩踏み込めば,責任能力に応じていて,正しく情状酌量された上での刑罰が下されることは当然かと思いますが,障がいのある人の場合は特に,ただ時が過ぎていくのではなく,更生に向けての矯正教育を主たる内容とした前向きなものにしていく事が刑事政策を考える上でも重要な気がします.


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