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2014年7月

2014年7月30日 (水)

佐世保市の高1女子同級生殺害事件に思う①

佐世保市で起きた高1女子同級生殺害事件の報道で日本中が震撼しています.もっとも報道がすべて本当の事であるかどうかは分かりません.報道は捜査側の発表が元になっていますし,被疑者は少年ですから発表できないことも多々あるでしょう.捜査の関係で報道できないこともあるかと思います.ですので,報道されていることをそのまま鵜呑みにできません.

しかしながら,殺害後遺体を刃物で損壊しているという異常な犯行態様の事件であることは間違いなく,動機も報道では「人を解剖したかった」というもので,少なくとも怨恨とかとは全く違う,かなり変わった動機であるようです.これまでの報道では被疑者の医学モデル面での異常さが強調されている一方で,計画性にも触れていて,責任能力について問題がないということも捜査側から強調されているようです.

今後,逆送されて刑事処分なのか,それとも家裁の審判で保護処分となるのかは分かりませんが,責任能力がある以上は矯正施設での処遇がなされるのが順当でしょう.特別な処遇が必要となれば,逆送された場合は医療刑務所,少年院だと医療少年院ということになるのでしょう.たとえ少年院送致としても神戸連続児童殺傷事件と同じように5年などの特別に長い処遇期間になるかと思います.

勿論,愛娘を同級生に殺害されたご遺族の皆さん方は悲嘆にくれ,被疑者を憎むのは当然です.心情的には出来るだけ重い刑罰を科してほしいと思うのは無理もありません.ご遺族のケアは当然ですし,級友たちのケアも必要でしょう.加害者側の家族もケアが必要なのではないでしょうか.

本件のような犯罪の場合は,死刑は勿論ないでしょうし無期懲役もまずありません.たとえ無期懲役であっても,社会復帰はありえます.したがって本件の場合,社会復帰に向けた更生支援を行なっていくニーズが高いケースと言えるでしょう.神戸連続児童殺傷事件の加害少年に対しても,一般的な処遇ではない特別な処遇がなされていました.

例えば,この加害者が心身に何らかの障がいを負っていたとします.では,福祉としてどう対応できるのでしょうか?この場合は,少年への対応としてまずは,少年審判に向けての入口支援として,ソーシャルワーカーが付添人に就き,加害少年との関係を形成して更生支援をするという形が考えられます.長崎県で起きた事件ですが,少年事件の守秘性や刑事手続きの違いなどを考えると障がい者調査支援委員会といった組織での対応ではなく,一般的なフォレンジック・ソーシャルワークでないと対応できません.

大きな事件ですし,すでに当番弁護士の接見,被疑者弁護人の選任というかたちで動いていると思いますが,医学モデル的な障害だけにとらわれるのではなく,生活モデル的な障がいにも目を向けていくべきだと思います.報道されているものだけでも,家族への暴力,不登校など様々な生活支障がありますし,そもそもこの犯罪自体が生活支障,社会行動障がいとしてとらえられます.そこには司法的な働きかけでは不十分です.家裁の調査や鑑別だけでも十分ではないでしょう.それは,更生を考えなければいけないからです.

是非,すばらしいフォレンジック・ソーシャルワーカーに対応をしていただき,2度とこういったことが起きないようにしていただきたいと思います.

最後に,ご遺族の皆さんには,加害者の動向を逐一ありのままに知らせることは少年であっても必要だと思います.よく加害側の人権ばかりを守るということが言われますが,そうであってはいけません.もの言えぬ被害者とご遺族の人権も守る必要があります.そして,忘れてはいけないのは加害者家族の人権も守らなければなりません.

大きな課題のある事件だと感じています.

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2014年7月13日 (日)

脱法ハーブついて

最近,脱法ハーブを吸引しての交通事故が目立っている.

「脱法」というと法に違反していないと軽くとらえているのか,安易な使用が目立つように思う.しかし,昔からある大麻や覚せい剤と違って脱法ハーブはその効果や副作用,依存性がよくわからない.覚せい剤に近い成分のものもあると聞く.

つまり脱法ハーブの使用は,身体にどんな影響を与えるか,治験が行われていないものを使用している訳である.少なくとも大麻や覚せい剤は医薬としての歴史があるが,脱法ハーブはそうではない.

もちろん,その効果により交通事故といった社会的な問題を引き起こす.しかし,それよりも依存症になることや,使用することによる胎児への催奇性などの問題など様々な問題がある.また,少年や知的障がい者といった自己抑制力に難しい面がある人たちに蔓延すると今後の社会全体への影響も懸念される.

そして,脱法ハーブの問題では,すでに多くの薬物が違法薬物に指定されているが,次々に新しいものが出てくるため,いたちごっこの状態になっている.取り締まるだけでは効果がない.

こうなってくると,ハームリダクション,つまり,年齢や所持量の制限付きで大麻を解禁ということもアメリカの一部の州やヨーロッパの一部の国のように考える必要性がある.薬物依存は犯罪ではなく疾病であり精神障がいである.犯罪だけの捉え方ではこの問題を考えるのは難しく,公衆衛生や社会福祉の観点からも解決に向けてのアプローチをしていく必要がある.単純に取り締まり刑事罰を与えるよりも,依存から回復し社会復帰していく方が,国家的な費用対効果があると思う.

脱法ハーブをきっかけに,日本でもドラッグコートや薬物依存のリハビリ施設のあり方,そしてハームリダクションについても論議がされるべきである.社会福祉の立場から言うとフォレンジック・ソーシャルワークの展開が我が国にではすすんでいない.脱法ハーブも含めた薬物の問題を解決するには,フォレンジック・ソーシャルワークを我が国に展開していくこともきわめて重要だと思う.

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