« すっかり忘れていましたが,6月28日はアジア犯罪学会でセッションを行ないました | トップページ | 佐世保女子高生同級生殺人事件と北海道女子高生祖母,母殺人事件について »

2014年10月 5日 (日)

神戸市小1女児殺害事件に思う

大変悲惨な事件だ.幼い女の子を殺害し,その遺体をバラバラにする.許しがたい事件である.そして,死体遺棄の容疑で1人の男性が逮捕された.被疑者は黙秘している.現時点での報道,その元である警察発表には色々疑問ある.

まずは,被疑者に知的障がいがあると発表されたことである.一部の報道では名前と知的障がいがあることが報道された.おそらく療育手帳が交付されていることが逮捕段階で分かっていたからだと思われる.死体遺棄容疑で逮捕されたこの段階で,「知的障がい者は危険だ」というような言葉がネット上で飛び交うようになってしまった.かつて東金事件の時も同じようなことが起きてしまっていた.心ない言葉に関係のない多くの知的障がい者本人や関係者は非常に嫌な思いをすることとなった.

次に推定無罪の原則があり,かつ殺人容疑での逮捕ではないにも関わらずこの被疑者段階ですぐにも「この被疑者が殺人の犯人に違いない」というような報道が多かったことである.被疑者の前科など,おそらく捜査側でしか知りえないような事も報道された.被疑者と面識があったような報道がされたが,これも間違っていたと後に報道され,一緒にいるところが防犯カメラに写っているという報道がなされたが,結果としては一緒にいた証拠は目撃者も含めて何もない事が後に報道されている.

逮捕時の決め手は,遺体を入れていたビニール袋の吸い殻のDNAが被疑者のものと合致したということらしいが,その後のガサ入れでは,リュックサック,微量な血痕という発表がされ,ガサ入れから数日経って,浴室の血痕,そして包丁が発見されていたという発表がなされていた.だが,包丁に彼の指紋があったという発表がなされない.なぜ,こんな形で報道発表がなされるのだろう?慎重な捜査ということなのか.意図的なものであろうが不思議な発表の仕方に思える.

次に被害者家族へのバッシングである.被害者家族の経済事情,被害女児の養育状況などなど,根拠をしめさないままよくない話がネット上のあちこちで語られていることである.悲しみの中にいる被害者家族に追いうちをかけるようなことがなされていることに対して悲しさを覚えた.この事件に限らず,刑事事件の被害者へのバッシングはよくある.「保険金が入って潤ったんだろう」とかというものだ.恥ずかしい話だと思う.

生活保護受給者への偏見も生んでいる.被疑者が生活保護を受けていたという報道がなされた反面,毎日働かずに飲酒していたという報道もされた.一部では生活保護費が上がるから療育手帳の交付を受けたという間違った報道もされた.さらに,被疑者が元受刑者であるという報道もなされ,元受刑者の自立更生への影響も懸念されることにもなった.

被害者に報いるためにも,真実を明らかにしてほしいものである.しかし,犯人が重罪となるべきは当然なのであろうが,判決が確定するまでは推定無罪の原則であるし,被疑者被告人の権利が守られて初めて真実につながると思う.また,報道の一言が全く関係のない人々を苦しめたり嫌な思いをさせたりという事につながると思う.福祉関係者にとっても極めて嫌な感じのする事件ではないだろうか.早く解決してもらいたいものである.合掌

|

« すっかり忘れていましたが,6月28日はアジア犯罪学会でセッションを行ないました | トップページ | 佐世保女子高生同級生殺人事件と北海道女子高生祖母,母殺人事件について »

ニュース」カテゴリの記事

司法福祉」カテゴリの記事

学問・資格」カテゴリの記事

心と体」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

更生保護」カテゴリの記事

法律」カテゴリの記事

福祉」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/181558/60424137

この記事へのトラックバック一覧です: 神戸市小1女児殺害事件に思う:

« すっかり忘れていましたが,6月28日はアジア犯罪学会でセッションを行ないました | トップページ | 佐世保女子高生同級生殺人事件と北海道女子高生祖母,母殺人事件について »