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2014年12月30日 (火)

川口市祖父母強盗殺人事件に思う〜フォレンジック・ソーシャルワークの視点で〜

川口祖父母殺害 18歳孫に懲役15年/さいたま地裁

             
      

 川口市のアパートで3月、祖父母を殺害し現金を奪ったなどとして、強盗殺人と窃盗の罪に問われた孫の少年(18)の裁判員裁判の判決公判が25日、さいたま地裁であり、栗原正史裁判長は懲役15年(求刑・無期懲役)を言い渡した。

      

 判決で栗原裁判長は、少年が祖父に借金を断られ、祖父母を殺害した犯行について「強い殺意を持って、落ち度もない2人を殺害して金品を奪った」と指摘した。

      

 弁護側は少年が母親から殺害を指示され犯行に及んだと主張し、少年院送致の保護処分を求めたが、栗原裁判長は「借金を確実にさせ るための追い込みの言葉にすぎなかった。母親の供述にはうそはあるものの、強盗殺人を指示していないという点で信用できる」とし、母親の殺害への関与を否 定した。

      

 一方で量刑について、少年の成育環境が犯行に影響したと強調。「(少年は)母親の極めて不適切な養育で不遇な生活を強いられた。 母親に逆らわない性格傾向となり、『殺してでも』などという言葉で、母親に祖父母からの借金を執拗(しつよう)に迫られ、追い詰められた」と述べた。

      

 判決などによると、少年は3月26日、川口市西川口のアパートで、祖父の無職小沢正明さん=当時(73)=と妻千枝子さん=同 (77)=の背中を包丁で刺すなどして殺害。室内から現金8万円とキャッシュカードなどを奪い、市内の現金自動預払機(ATM)から現金を引き出したなど とされる。

      

 強盗と窃盗罪に問われた母親は9月、さいたま地裁で懲役4年6月を言い渡され、刑が確定している。(埼玉新聞)

無期懲役求刑から懲役15年判決,2名の親族強殺では少年といえども情状が斟酌された結果であろう.

しかしながら,私はこの事件を見て日本の刑事司法における教育的かつ治療的な部分の物足りなさを感じた.本人の受けた虐待など過酷な生活環境,18歳という可塑性のある少年,様々なことを考えると,応報的な刑罰で更生が図られるのか疑問である.そもそも子どもの生活環境を整えるのは大人の義務,社会の義務でもある.故意ではないにせよ,彼の生存権を保証するチャンスを見過ごした,大人と社会の責任は大きいと思う.

この裁判は判決前調査,フォレンジック・ソーシャルワークの必要性を露呈させた事件だとも思う.被告人の責任能力には争いがないようであったし,障がいがあるとの鑑定結果もない中で,生活環境についての調査と処分終了後の更生のあり方についても審議する必要性があるのではないか?

障がいのある人,とりわけ知的障がいや発達障がいのある人の入口支援がクローズアップされているが,本来の更生支援やフォレンジック・ソーシャルワークは福祉的に考えると,支援の必要な人すべてに関わることであり,高齢者,ホームレス等低所得者,少年など支援を要するすべての人を対象としているのであると思う.

兎角,障がいのある被疑者・被告人など限定的になっている今の入口支援であるが,そうではなく,対象者を広げていくひつようがあろう,ジェネリックなフォレンジック・ソーシャルワークが必要なのであると思う.

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