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2015年7月14日 (火)

佐世保の高1同級生殺害少女 医療少年院送致に

本ケースは検察から刑事処分相当の意見がつきながら,家裁は保護処分の判断をした.

鑑定結果では,責任能力には問題がないが自閉症スペクトラム障害(ASD)の影響について指摘されている.ASDの概念には,いわゆる自閉症だけではなくアスペルガー障害(AD)や広汎性発達障害(PDD)も含まれている.要は,発達障害の影響を指摘しているわけである.

ここで強く述べておくが,ASD,AD,PDDいずれにせよ,こういった障がいのある人が犯罪をしやすいということではない.度々こういう報道がなされることにより,多くの人がこういった障がいのある人が,こういった犯罪を起こしやすいような印象をもってしまうが,それは全く間違いである.本件についても審判要旨を見ると,影響について述べられているに過ぎず,障がいが犯行の原因であるということではない.

さて,この事件について,私はフェイスブックや講演などで度々この少女については,保護処分とし,医療少年院送致(現法では第3種少年院送致)が妥当だと述べてきた.理由は色々あるのだが,刑事処分にした場合,現在16歳を超えているので刑務所に収監することになる.しかし,男性であれば少年刑務所があり,特に初犯の少年刑務所(YA,JA)であればかなり専門的な処遇も行われている.しかし,女性の少年刑務所はなく,普通ならば女子刑務所に収容ということになるが,少年の可塑性に配慮した専門的な処遇がなされているとはいえないだろう.また,特別なケースなので医療刑務所というのも考えられなくもないが,治療反応性のある精神障がいではなく,重い知的障がいで特別な処遇がいるというわけでもない.もっとも,今の刑事施設ではこの少女に対して,更生と再犯防止に向けての処遇を行うのは,かなり厳しいと感じるのである.

目には目,歯には歯でそれ相応の罰を加えるべきだという意見もあろう.遺族からすれば,厳罰をもって処して欲しいというのは当然である.しかし,この場合,刑事処分が科せられたとしても,有期刑であり社会復帰が予定されるのである.十分な専門的かつ個別的な処遇がおこなわれ,再犯防止を図ることが必要であることはいうまでもない.また,本当に事件を見つめ直し,謝罪の念を持てるような処遇を行うことが重要であって,刑務所での処遇でこの加害少女に対し十分なことができるかというのは前述したように疑問である.

そういった意味で,私は第3種少年院で専門的かつ個別的な処遇を受けるべきだと考えていた.また,今は少年院の収容者数が減っていて,そういう意味でも個別化が行いやすいのではないだろうか.女性のM級なので,おそらく関東医療少年院か京都医療少年院のいずれかに送致されるのであろう.

新聞で,収容期間が少年院では短いので刑務所で長期にわたりケアするべき旨コメントしていた某先生がおられたが,第3種少年院のおおむね26歳までという教育期間を考えると,10年ほどは処遇されているし,刑務所はそもそも行刑施設であり,ケアすることは目的ではない.少年院送致は保護処分のひとつであり,いわばケアであって,長期間のケアが望ましいということであれば受刑するよりも少年院の方が将来を考えても望ましいであろうと思っていたのである.

今後この少女がどうなっていくのかは分からないが,いつか社会復帰したとき,ご遺族が納得できるような生き方と謝罪の念を持って欲しいものである.

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