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2018年1月31日 (水)

独立型社会福祉士事務所NPO法人ほっとポットが、被疑者・被告人段階にある方の支援を行う他3民間団体(社会福祉士)と連名で、【公益社団法人日本社会福祉士会長】宛へ、公開要望書を発表しました

私も連名で要望書に名を連ねています。

微力ながら,真の刑事司法ソーシャルワークとは何かを世に問いたいと思っています。

2018年1月31日

公益社団法人 日本社会福祉士会会長
西島 善久 殿
     
【法務省法制審議会で議論されている「捜査機関への社会福祉士配置案」に対し公益社団法人日本社会福祉士会として断固反対の立場を表明することの公開要望書】

一般社団法人 東京TSネット
PandA社会福祉士事務所
代表理事 社会福祉士 及川博文

権利擁護&司法ソーシャルワーク研究所
代表 社会福祉士 原田和明

特定非営利活動法人 サマリア
理事長 社会福祉士 黒田和代

独立型社会福祉士事務所 特定非営利活動法人 ほっとポット
代表理事 社会福祉士 宮澤進

 私たちは、東京都内、兵庫県内、埼玉県内において、独立型社会福祉士として、いわゆる「被疑者・被告人段階」にある方への釈放後に向けた相談・調整支援等を行ってきた社会福祉士です。本件については、「刑事司法・司法福祉・リーガルソーシャルワーク・更生支援」領域(以下、本領域)など呼称は様々ですが、本領域において各々が、各地域の実践の最前線に身を置き、独立した社会福祉士として活動している点は共通しています。
 さて昨年より、法務省法制審議会:少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会第3分科会等(※参照 法務省法制審議会ホームページ)において、検察庁(捜査機関)における社会福祉士配置の議論がなされていることは、公益社団法人日本社会福祉士会(以下、貴会)として、当然、早くからご存じであったと思います。
 特に、昨年の法制審議会の分科会においては、ある委員から「措置の対象として,現在この会議で念頭に置いておりますのは18歳,19歳の若年者でございまして,現在,入口支援で対象にしている方とは性質が異なるわけでございます。こういう若年の方たちというのは,自分自身に課せられた約束事を守らなかった場合に,どのような不利益的な措置が待っているのかということ,そういった措置というのがどの程度のものなのか,こういった観点から制度を捉えようとする傾向があるというふうにいえると思います。 なかには,現在の更生緊急保護の枠組みを前提に,補導援護的な措置で対応可能な若年者もいるとは思います。しかし,現行で保護処分を受けているような,要保護性が高い若年者,つまり資質や生活環境に問題を抱えている若年層に対する措置としては,現在の更生緊急保護の枠組みを前提としたものでは不十分ではないかという思いを持っております。こういった層に対する処遇といいますか,措置としては,遵守事項,あるいはそういう言葉はともかくとして,それに類するものを課した上で指導を行い,指導に従わなかった場合には何らかの不利益的な措置が伴うというような枠組みが必要なのではないかというふうに考えております」という発言も示されました。
※引用 法務省法制審議会第3分科会(平成29年9月29日) 第1回会議 議事録p18~p19
 この捜査機関における社会福祉士配置は、捜査機関や捜査機関と一体化した社会福祉士がその要保護性を判断することであり、その身柄拘束中の捜査機関が、捜査の連続性の結果として、当事者へ社会福祉士をつなぐものであり、真の自己選択・自己決定が担保されているとは決して言えるものではありません。捜査機関の措置・処分の結果に怯えざるをえない立場の被疑者被告人段階の方が、捜査機関内部における社会福祉士との面接によって、表面上は各種社会福祉制度に同意してもそもそも自己選択における任意性が担保されているとは言えず「不当に引き出された意思」である可能性が想定されます。
 そもそも各種社会福祉制度における要保護性の判断や、その判断に基づく責任の所在は本来、如何なる機関が担うべきとなっているでしょうか。
 さらにいえば捜査機関にとって都合の良い恣意的な判断が、身柄拘束期間の取り調べと連続して被疑者・被告人段階の方へなされた時、そこに従事する社会福祉士がとらねばならぬ権利擁護機能と、確実に相反する余地が発生します。この点は極めて重大な問題です。
 罪を犯した方の釈放後の安定した生活等を支える社会福祉士が、「措置」「処分」という名目下で利用されることに他なりません。何よりも社会福祉士の職業倫理という点からも、大きな懸念が残ります。また社会福祉の在るべき態度は自律性ですが、司法の態度はそれに相反し権威であり他律性です。もし、ソーシャルワークが権威となり公権力の行使の一部となれば、ソーシャルワークの理念とは解離したものになります。

【1 捜査機関内部に社会福祉士が雇用される方向性について、貴会として断固反対するよう要望します】

 私たち社会福祉士は、抑圧や人権侵害を決して認めてはならぬ社会福祉の専門職能者です。そして私たちの実践には大きな責任が常に求められます。
いわゆる法曹3者(裁判官、検察官、弁護士)に対し、本領域の社会福祉士はこの何れの立場と連携する事が社会福祉士の権利擁護機能との「親和性」の観点から求められるでしょうか。貴会の正式見解をお示し下さい。
 私たちは、法曹3者の機能・役割の違いをしっかり理解しなければなりません。逮捕された方の勾留決定可否や、判決如何によって人の命すら奪う裁判官の機能・役割の一面、被疑者を起訴し身柄拘束期間を長期化させたり、人の命を奪うことを公判において求刑する場面もある検察官の機能・役割の一面を社会福祉士の立場で捉えた時、この2者とは、あくまで当事者理解や社会福祉士の支援活動の理解を促すという範囲内において連携が多少容認できるものの、極めて制限的であるべきとの立場をとっています。
 社会福祉士の権利擁護機能の保持・倫理性の徹底遵守・専門性の担保・職能者としての自律性を踏まえ、私たちは捜査機関に社会福祉士を配置する方向性に断固反対の立場を表明します。
 ついては貴会においても、本件について明確に断固反対するよう要望いたします。
 抑圧や人権侵害を一切認めぬ権利擁護者である社会福祉士として、本領域での在るべき姿は、下記に挙げる権利侵害との関係性からも慎重な判断を要します。貴会が方針を正式表明できる迄は、捜査機関(検察庁)に対し、断固反対の意思を示すよう強く要望します。
 また貴会の方向性が決した際は、速やかにその結果に関し全会員へ貴会ホームページや会報誌等で紹介するとともに、その結論に至った論拠を説明して下さい。

【2 全会員に対し「捜査機関へ社会福祉士を配置すること」の議論を公開して下さい】

 貴会には司法福祉委員会がありますが、本件に関する議論内容は文書で公開されていません。わが国最大の会員規模を有する「社会福祉の専門職能団体」として、捜査機関への社会福祉士職域拡大において懸念されるリスク・課題点を熟議し尽くしたのでしょうか。
 議論内容が全会員へ公開されていない為、その議論過程を私たちは今、知り得ることすらできません。組織としての透明性・健全性の観点から考えても、最近の司法福祉委員会の在り方に強い疑問を抱かざるを得ません。こういった姿勢そのものが「捜査機関に社会福祉士を配置する方向性を事実上黙認している」と、外部の私たちから指摘される心情へとつながっています。本件に関し、全会員へ迅速に情報の再分配をして下さい。
 一方、捜査機関に社会福祉士を配置することに関し貴会理事会、貴会司法福祉委員会において何らかの決定があったとすれば、極めて重大な決定です。全会員に対しその議論内容と結果の公表と説明責任を速やかに果たして下さい。
 私たち側も、本要望書をそれぞれの媒体で公開します。貴会におかれましても、本公開要望書について、こういった反対意見が会長宛に寄せられた事実を、様々な媒体・機会を通じ紹介し、全国の社会福祉士から本件に関し広く意見を聴取し、議論を活発化させるよう取り組んで下さい。

【3 「捜査機関による捜査・取り調べ過程やそれに類する過程で生ずる様々な権利侵害行為」が発生した場合、社会福祉士は権利擁護者としてどう考え行動すべきであるのか「社会福祉士の倫理綱領及び行動規範」に従い、会員に対し広く貴会の見解を表明して下さい】

 本領域において独立型社会福祉士として、被疑者・被告人段階にある方の相談・調整支援等を日頃行う私たちは、当然、権利擁護の立場で活動しています。 
 それゆえに捜査機関による権利侵害行為について、当事者から打ち明けられたり相談される場面が十分に想定されます。
捜査機関への社会福祉士配置がこのまま進むことは、捜査機関の社会福祉士によって、被疑者・被告人段階の方に対して、捜査機関による権利侵害行為や、それと類するような発言・行為に加担してしまう可能性が予見されます。
 仮に、捜査機関に雇用される社会福祉士によって、身柄拘束中にある被疑者・被告人段階にある方から同意を得たという名目で、福祉制度・福祉施設入所利用を強要された場合、またそれと類する疑わしき行為・発言を社会福祉士が把握した場合、どのように対処するのが適切か、貴会としての見解を広く公開する形で全会員へご教示下さい。
 なお当然に捜査機関内部の権利侵害行為は、糸口すら見えぬほど究極的閉鎖環境・圧力関係の中で、巧みに行われるケースが想定できます。こういった極めて重大な課題を解決する主体的責務こそ、貴会にある点を強く自覚して下さい。
 そして捜査機関の取り調べ等の過程における権利侵害は、かねてより様々な報道などを通じ問題になっています。貴会理事会の理事は、この点についてしっかりと熟議を行って下さい。
 参考として、捜査機関による取り調べ過程などでどのような権利侵害が行われたことがあるのかに関し、日本弁護士連合会は過去にアンケート調査を実施しています。内容をご覧いただき、捜査機関による権利侵害に対し、社会福祉士はどう立ち振る舞うべきなのか、貴重な資料としてご活用下さい。
※参照
日本弁護士連合会ホームページより「検察改革への取り組み」
「検察官の取調べについての全会員アンケート集計結果」(2017年2月17日)

以上

公開要望書 「20180131165342611.pdf」をダウンロード

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