日本精神保健福祉士協会から構成員に対し「第49回衆議院総選挙における「地域共生社会推進に向けての福祉専門職議員連盟」役員の「推薦」と政治的姿勢について(ご報告)という文書が開示された。
超党派組織である地域共生社会推進に向けての福祉専門職議員連盟を支持していることやその理由,また,1人の議員だけではなく,全ての役員議員を推薦或いは支持していると書かれている点は,日本社会福祉士会とほぼ同じである。
一部誤解されている方がいるのでここで記しておくと,私は,超党派組織である地域共生社会推進に向けての福祉専門職議員連盟を公益法人である職能団体が支持すること自体は問題ないと思っている。そして,党派を超えてその役員を全て推薦・支持するのであれば,公益法人として優遇された法人の公平性や中立性は損なわれない。勿論,選挙運動として協力するのならば公示・告示後であることは言うまでもない。ちなみに,日本社会福祉士会は超党派で推薦・支持をしたとあるが,誰を推薦・支持したかについて事前に会員に何か図られたわけでもなく,公表もされていないことは,前回書いたとおりである。この組織の各党や野党に属する役員にも日本社会福祉士会が推薦・支持を出しているのかは,既に然るべき人物,組織が調査に入っていると聞いている。
しかし,今回のように,一つの政党に属する1人の議員を応援するのであれば話しは全く違うと思う。たとえそれが,この超党派組織の事務局長という役員だからといっても,この議員だけを都道府県会長会議で取り上げたのだから,特別扱いととられても仕方がないと思う。ましてや,衆院選挙告示前に推薦の依頼を受けて要請するなど,とんでもない話しである。よく公益法人が利益を考え与党を応援するために別法人をつくるというのがあるが,それに賛同する人が少ないということならば,その公益法人の構成員の意志ということになる。
日本精神保健福祉士協会と日本社会福祉士会の説明で違う点がある。日本精神保健福祉士協会は文書の中で,理事による会合で地域共生社会推進に向けての福祉専門職議員連盟への協力のあり方について再協議している。その結果,協会の政治的取り組みが構成員各位の国政選挙における投票行動に影響を及ぼす可能性が排除しきれないことを踏まえて,今後推薦には一層慎重であるべきとの確認をしたとしており。さらに,候補者個人からの要請により,都道府県支部長及び副支部長にも任意とはいえ推薦の協力を依頼したことについては誤解を招く恐れがあったと認識しているとしている。つまり,衆院選告示前であること等完全ではないにせよ,候補者個人からの要請により,推薦への協力を依頼したことについては,間違えであったとの認識を示していて,事実上の撤回である。この点は日本社会福祉士会の説明と全く違っている。さらに,国政選挙の際に依頼に応じて推薦するという既定方針についても,再検討していくとある。この点についても日本社会福祉士会の説明では微塵もうかがえない。しかしながら,その日本精神保健福祉士協会においても,公益法人が特定の議員への推薦を行った事の公平性や中立性の問題,選挙告示前に一般の構成員が知らない中で,メールで事を進めようとしたこと等については触れていない。
日本精神保健福祉士協会は,当たり前な事と前置きした上で,衆議院議員総選挙には構成員各位の自由意志で臨んでいただきたいとしている。私も含めて構成員は,日本精神保健福祉士協会に会費を納めている直接の構成員ということもあろう。であるならば,こういったことは構成員全体に知らせるべきである。
日本精神保健福祉士協会の今回の対応が,全てよしとは思わないが,少なくともコンプライアンスでの問題がなかったか検証したのがうかがえる。組織の選挙後の事を考えた対応とも言えるかもしれない。その点では日本社会福祉士会の対応と比較すると幾分ましなように思える。日本社会福祉士会においては,各都道府県社会福祉士会の本件における対応状況を明らかにして欲しいものだ,ちなみにこれも各会員レベルでの調査が始まりつつある。
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