経済・政治・国際

2014年3月31日 (月)

障害者総合支援法26年度施行 地域移行支援対象の拡大について

障害者総合支援法においては26年度から新たに施行される制度がある.
その中の一つが,地域移行支援における対象拡大である.

今まで,地域移行支援の対象となっていたのは,精神科病院からの退院と障害者支援施設からの退所のケースである.

この度新たに対象となるのが,救護施設等の生活保護施設,矯正施設(刑事施設及び少年院),更生保護施設等(自立準備ホーム含む)である.

救護施設には,特に依存症を含む精神障がいのある人が多い.また,矯正施設退所者や社会内処遇となった人を受け入れてきたという経緯がある.更生保護に寄与してきたのである.

ましてや,矯正施設や更生保護施設等からの退所者と言えば,勿論更生保護の対象者と言える.つまりは,障がいのある更生保護の対象者が矯正施設などからダイレクトに地域の地域移行支援を行なっている相談支援事業所にケースとして依頼がかかるということを意味している.

例えば,刑務所の社会福祉士が,他府県に帰住する矯正施設退所予定者について,帰住予定地の相談支援事業所に依頼をするということが可能になる.そこには保護観察所が関係しないので,一般調整なのか特別調整なのかは関係ないし,地域生活定着支援センターを絶対に介さないといけないものではない.ダイレクトに依頼がかけられるのだ.

矯正施設の社会福祉士や分類の担当者と,地域移行支援をやっている相談支援事業所の相談支援専門員ら,帰住予定地の障がい福祉担当行政などと地域移行会議を開いて地域移行支援を行なっていくということが考えられる.

しかし,矯正施設の分類級という点から考えると,同一府県内での活動では留まらないことになる.例えば,大阪矯正管区にはH1H2の男性を収容する少年院はなく,名古屋矯正管区の伊勢市にある宮川医療少年院になる.また刑務所にしても別の管区の施設に収監されているケースは少なくない.今まで以上に,地域移行支援のエリアが広がるといえる.単価が同一の地域移行支援事業では,かなりの負担になるだろう.

法務省側も体制を整えつつある.次年度から重点施設だけではあるが,非常勤の社会福祉士・精神保健福祉士を常勤化する.これは,拡大されて,そのうち全ての施設で常勤化するだろう.

法務省側としてみれば,矯正施設でのソーシャルワークを充実させ,厚生労働省予算の地域移行支援をつかって障がいのある矯正施設退所者対応を図るという図式が生まれるのだ.そのうち,市町村の基幹型相談支援事業所あたりで,矯正施設・更生保護施設等の担当者が出てくるかもしれない.小さな市町村では,支援の難しいケースが矯正施設から退所して地域移行ということになると,特に経験がなければその負担は大きいだろう.

ちなみに,矯正施設を退所しても行く所が無い人は,その矯正施設の所在地で地域移行も考えられる.つまり援護の実施者が矯正施設所在地になるというパターンだ.その施設は近いかもしれないが,ケース数が多くなるという可能性もある.

私は,更生保護に関わるこういった支援は特殊なものとして扱わず,地域で当たり前にあるケースとして地域で担っていくべきと主張してきた.矯正施設退所者のみならず,執行猶予になって拘置所から釈放される人などといった社会内処遇の人も含めて地域で対応するべきである.この地域移行支援の延長線上に,被疑者・被告人段階や少年審判におけるソーシャルワークがあることは言うまでもなく.また,都道府県レベルではなく地域でそれをソーシャルワークとして担っていくべきである.


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2012年8月29日 (水)

野党の問責決議案提出に思う~流れてしまう少年院法等改正法案~

私は支持政党もなく,古い言葉でいうとノンポリに属している.

ただ,ソーシャルワーカーとして福祉や社会保障の法律や施策には当然興味があるし,司法福祉の実践をしている者として,刑法や刑事訴訟法,少年法,矯正施設にかかわる法律などにも当然興味がある.

参議院で野田総理の問責決議案が可決されるらしい.これが可決されると,自公はもう審議に応じないらしく,国会は事実上の休会状態となってこのまま閉会してしまうらしい.

ついこの間まで,与党と自公が政局を見つめながら,可決に向けてやり取りをしていた消費税関連法案.そのおかげで,審議が後回しになった法案がいくつもある.

少年院法等の改正法案もその一つだ.参議院で審議中だった.この法案は,少年院や少年鑑別所の運営監視にあたる第三者機関を設置したり,収容されている少年たち等から,法務大臣への不服申し立ての制度化といった権利擁護にかかわる重要な改正法案である.

この法案は少年院で職員が収容されている少年に対して体罰を加えた事件を機に3月に閣議決定されたものであるが結果的には先送りになってしまう.

政局よりも少年たちの人権の方が大切なのではないかと思えてならないのは,私だけなのであろうか.

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2012年5月27日 (日)

次長課長の河本さんはスケープゴート?

笑いコンビ「次長課長」の河本準一さん(37)は25日、母親が最近まで生活保護を受給していたことを東京都内で開かれた記者会見で認め、一部を返還する考えを明らかにした。厚生労働省は今後、扶養可能な親族がいる場合は、家庭裁判所での調停を通じ、民法の扶養義務を果たさせるよう自治体に呼びかけるなど、運用を厳格化することを決めた。

 「母親は一人で僕と姉を育てた。面倒をみなければならないのに、自分がしっかりしていれば、嫌な思いをさせることもなかった。申し訳ない」。25日午前、河本さんは記者会見で涙ながらに何度も頭を下げた。

 先月、週刊誌の報道をきっかけに河本さんが批判にさらされるようになったのは、息子である河本さんには民法で母親の扶養義務があるからだ。

 河本さんによると、母親は14~15年前に病気で働けなくなり、生活保護を受けるようになった。仕事が全くなかった当時の河本さんにとって、母親を支援する余裕はなかったが、5~6年前から知名度が上がり収入も増えたため、生活費を支援するようになった。

 福祉事務所にも相談しており、違法とはいえないケースだが、援助は一部にとどまり、受給は先月、母親が打ち切りを申し出るまで続いていたという。

 この問題を巡っては、制度の運用や行政側の対応の課題も浮き彫りになった。

 同省によると、生活保護の受給申請があると、自治体は申請した人の親族に生活援助が可能かどうかを照会する。ただ、親族の回答はあくまでも自己申告で、仮に事実とは違う内容を説明されても見抜くのは難しい。また、経済力があっても親族が扶養を断ることは可能で、結局は申請した人の生活が困窮しているかどうかで受給の可否が判断される仕組みだ。

 受給が始まった後、自治体は原則年1回、親族の経済状態を調べ、受給者の扶養が可能かを再検討することになっている。しかし、担当のケースワーカーが確認を怠っているケースもあるとみられ、河本さんのケースでは、調査は約15年間に3回程度にとどまっていた。(読売新聞)

芸能人の方なので名前を出させていただきます.まるで不正受給をしているがごとく書かれていますが,扶養については行政と相談しながら実施しているし,同一市町村内に住むいわゆる特別扶養義務者ではないので,違法ではありません.

芸能人でテレビにも出ていて,高年収が世間にも知られているので,その母親が生活保護を受給していることが感情的に許されないので大騒ぎになっているとしか思えません.

生活保護を受給しながら立派に息子を育て,その息子が長い下積み生活の結果やっと売れた.

生活保護などとは無縁に育った政治家の方が,個人名を挙げて指摘されたようですが,まじめに働いて扶養の義務も行っていた人を吊し上げるよりも,覚せい剤売買やノミ行為,窃盗などの違法行為で利益を得ながら生活保護を受けている人たちを糾弾することのほうが筋ではないでしょうか?

河本さんのお母さんが気の毒です.

こういう目立つ人を吊し上げることで,対立する勢力に対して国民感情をあおることができるのかもしれませんが,そもそも問題は,前政権から続いている失業等の景気対策であり,生活保護の受給における厳格化は,納税者へのアピールにしか過ぎないと思います.そもそも生活保護受給を柔軟にしたのは前政権の厚生労働大臣でした.(もうべつの政党の代表ですが)

河本さんはスケープゴートに見えて仕方がないのです.芸能人であっても国民の一人です.ましてや,明日をも知れない職業なのに.

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2012年3月 7日 (水)

刑務所での性同一性障害のある人への処遇上の配慮→日本とドイツ

 性同一性障害で心は女性なのに、男として刑務所に収容された受刑者が不満を訴えるケースが相次ぎ、法務省は3日までに、刑事施設の処遇方針をあらため、全国の刑務所などで障害に配慮した対応を始めた。収容者の要望に応じて服装や髪形、入浴に配慮し処遇の改善を進める。

 刑務所で個別の要望に応じることは受刑者間の不満や差別につながるとして、これまで一律での運用を徹底してきたが、法務省は「障害を無視した運用は人権侵害との批判がある上、障害が社会的に知られるようになり、配慮が必要と判断した」として新たな指針を導入した。

 新指針は、性同一性障害の収容者に対して(1)診療と居室(2)入浴や身体検査時の対応(3)衣類・髪形など―について配慮するよう規定。

 収容先の刑務所は、従来通り戸籍上の性別に従うが、居室は希望によって単独室とし、個別での入浴も許可。戸籍上は男性でも長髪や女性用下着、シャンプーなどの所持を新たに認めた。

 刑務所内では性別適合手術やホルモン治療はできないが、精神科医の診察や臨床心理士によるカウンセリングを積極的に導入。刑務官の理解を向上させる教育も行う。

 法務省によると、全国の刑務所などの矯正施設で、医師によって性同一性障害と診断された受刑者は2011年末時点で男女8人。診断はされていないが性同一性障害とみられ、刑務所が配慮の対象としている受刑者は約30人に上る。

 刑務所や警察の留置場での処遇をめぐっては、性同一性障害の男性が女性として扱うよう求めて裁判や人権救済を申し立てるケースがここ数年増加。各地の弁護士会が「個性や人格を否定する人権侵害」として法務省と刑務所に改善を勧告してきた。(中國新聞)

もともとニューハーフの人は違う処遇をしているはずかと思います。このあたりは本間龍さんも著書で書いておられます。

しかし,性同一性障害という診断がはっきりしている場合で,男子と同じような扱いをするのは確かに問題があるといえましょう。

性同一性障害は 英語では gender identity disorderです。障害(がい)と日本語で翻訳される英単語はいろいろありますが,disorder はどちらかというと医学上の支障かとおもいます。しかし,性同一性障害は生活することに障がいがあるのですから,handicapかと思います。

性同一性障害のある人を同性の中で処遇するのは人権上差し障りがあるのはそうですが,その人の刑務所生活そのものに差し障りがあるとも思います。男性の刑務官に入浴や検身時に裸体を見られるなんて相当な苦痛があるのでしょうね。これって分類時に判明させていないと,入所の際いきなり裸を見られますし,当然拘置所でも性同一性障害に配慮した処遇がされないといけませんね。もっと突っ込むと留置所も?

一口に処遇に配慮と言いますが,きっと現場は大変だと思います。それなりに労力もいるでしょうし,単独室の確保なんかも必要でしょうから。

ただ,日本の刑務所も少しずつですが変わりつつあるんだなぁーと思いました。刑務所のみならず拘置所や少年院でも当然配慮した処遇が必要なのでしょうね。

少し違いますが,ドイツは国民の約5%が同性愛者で,ベルリン市長や緑の党の有名な国会議員,現在の外相が同性愛者です。同性愛者同士の結婚も法的に認められていて,外相も同性者と結婚していました。

ドイツ刑法には、かつて同性愛を禁止する条項があり,男性同士で性交した者は、懲役刑に処せられ,公民権を剥奪されると規定されていました。この刑法はナチス時代にさらに重罰化して,同性愛者の噂や雰囲気があるというだけでも検挙され,推定10万人もの人が同性愛者が収容所や刑務所に送り込まれたといいます。

しかし今や同性愛者の権利が確立しているドイツ。そのドイツの矯正施設って,当然同性愛者や性同一性障害者には配慮した処遇がされているのでしょうね。調べてみたい気がしています。

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2011年11月16日 (水)

生活保護について

生活保護の受給者数(7月時点)が約205万人と過去最多となったことを受け、反貧困運動に取り組む弁護士らで構成する生活保護問題対策全国会議が9日、東京都内で会見し、「問題とすべきは貧困そのものの拡大だ」などと訴えた。受給者らも同席し、仕事が見つからない厳しい雇用状況や社会の偏見に苦しむ様子を語った。

 会見で、代表幹事の尾藤廣喜弁護士は、保護を利用する8割が高齢・傷病・障害者世帯であることを踏まえ「年金や最低賃金の引き上げ、第2のセーフティーネットの充実など根本的に社会保障を充実させるべきだ」と述べた。

 精神疾患で働けなくなり、保護を受けている千葉県の女性(32)は「就労をせかす言葉に心が折れそうになったこともあるが、仲間の支えで週1回の仕事を始めた。生活保護が私を助けてくれた」と話した。【石川隆宣】毎日新聞

生活保護を受けることによって,生活が成り立つ方は多くいます。確かに生保ビジネスなど生保の甘い汁だけ吸っている人も居ますが。多くはつつましく暮らしておられます。

確かに,就労することは大切ですが,障がいを重くするような働き方は結果的に保護からの脱却を引き延ばすだけかと思います。

相談支援の仕事をしていて,生活保護制度はしょっちゅう使います。この制度が揺らぐと,日本はどうなるのでしょうか?

ただ,景気と雇用の問題,ニートの存在などを考えると生活保護にかかるお金がもっと膨大になるとどうなるんだろうとも思います。

所得保障のシステムを見直すべきなのでしょうね。

TPPの動向も関係あるような気もするのですが。

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2011年9月30日 (金)

ノルウェーの刑務所とサウジの女性の自動車運転むち打ち刑

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犯罪の少ない北欧のノルウェーで悲惨なテロ事件が起き,多くの人が殺害されたのは皆さんもよく覚えておられると思います。

そのノルウェーは,教育刑の要素が強く,最高刑は禁錮21年だそうで,現行法上,このテロ事件の被告人も禁錮21年になるらしいのです。日本ならば死刑のケースですね。

その上,ノルウェーの刑務所は日本の刑務所とは大きく異なるようです。下の写真は最近できた刑務所らしいのですが,それにしてもきれいですよね。美祢社会復帰促進センターの居室もすごいと思ったのですが,テレビだけではなく,シャワー,小型冷蔵庫付きで,なおかつトイレは個室のようです。

すごいでしょう。これってまるでビジネスホテルですよね。

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日本の刑務所と大違いです。昔,社会福祉士のスクーリングで泊まった新宿の安いビジネスホテルはもっとひどかったです。

ここでの禁錮21年と,日本の絞首刑,あるいは無期懲役との差はなんなんでしょうか?しかも日本の無期懲役は仮釈放まで平均30年以上です。

そうかと思えば,国王の一声でなくなってしまいましたが,女性なのに自動車を運転した罪でのむち打ち刑。正直びっくりしました。無免許運転でも罰金刑ですよね。それと女性が自動車を運転してはいけないとか,かってに移動したらいけないとか...

罪種類とと刑罰のありかた。国が違えばかなり違いますね。当然ですが...しかし,罪を犯すのも裁くのも,そして被害者も,国こそ違えど同じ人間なのにと思ってしまいます。

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2011年8月 1日 (月)

毎日新聞社説から~障害者基本法改正~

個別分野では「司法手続き」と「選挙」が注目される。刑事事件で障害者が判断能力の弱さにつけ込まれて自白調書を取られて冤罪(えんざい)事件になったケースが数々ある。改正法では個々の障害者の特性に応じた意思疎通の手段の確保、関係職員の研修などを義務づけた。また、障害者が選挙権を行使できるように配慮することも盛り込まれた。

毎日新聞の本日の社説の抜粋です。

まずは,司法手続きに書かれています。

「刑事事件で障害者が判断能力の弱さにつけ込まれて自白調書を取られて冤罪(えんざい)事件になったケースが数々ある。」,宇都宮事件などのことですね。このブログでも大阪の放火冤罪事件などをとりあげましたが,個人的にも冤罪ではないかというケースにかかわっていますし,冤罪でなくとも,事実とは違うのでは???といったまま裁判になっているようなケースもありました。

前にも書いたように,「やったんやな」(怖いので)「はい」,(調書を読み上げて)「これで違ってるところはないな」,(何を読んだのか意味がわからないけど)「はい」,なんてことは,絶対にないようになるということですね。

かなり前に,知的障がいのある人への判決言い渡しで,裁判官が気を使って一生懸命わかりやすく説明しようとしたのですが,慣れないことをしたのでますますわかりにくくなっていたといった笑い話のような場面を見ましたが,そういうこともなくなるのかなぁと思います。

「障害者が選挙権を行使できるように配慮することも盛り込まれた。」ということで,今,違憲を争って訴訟になっている,成年被後見人の選挙権,被選挙権の問題にも影響するのでしょうか?民法改正があるのかもしれませんね。

また,北欧のように,どんな障がいのある人でも理解できる選挙公報や政見放送などがされるようになるのでしょうか?

いずれにせよ,障害者権利条約の批准を見据えての障害者基本法改正です。努力規定が多いという問題もありますが,とりあえずこれは障がい者制度改革推進会議の初仕事というところなんでしょうか。

この件は,リーガルソーシャルワーカーとして,特にこの「司法手続き」と「選挙権の行使」について突っ込んで書いてみたいと思っていますのでよろしくです。

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2011年7月30日 (土)

江田法相の死刑についての発言

 江田法相は29日の閣議後の記者会見で、死刑について、「悩みながら勉強している最中で、悩んでいるときに、はい執行、ということには私の気持ちとしてはならない」と述べ、当面は執行しない姿勢を示した。

 法務省では、法相の下に「死刑の在り方についての勉強会」が設置されているが、法相は「勉強している間に執行はないという一律の決め方をしているわけではない」とも述べた。

最近,東電OL殺人事件が冤罪で再審開始の見込みになったりと,殺人で無期懲役の案件が冤罪という場合が目立っています。

前にも書きましたが,無期懲役だから取り返しもまだつくでしょうが,死刑執行されていたら取り返しがつきません。

文字通り死人に口なしで,すでに執行されたケースで本当に冤罪はないのかと思うのです。

死刑が憲法で禁止された残酷な刑罰なのかどうかは私がどうのこうの言える立場ではないですが,こういった形で殺人事件の冤罪が出てきている以上,そう簡単に執行できる状況ではないなぁーとは思います。

しかし,被害者遺族の皆さんにとってみれば,早く執行してほしいという気持ちがあるのは当然でしょうし,また,法律に刑罰として死刑がある以上は,罪状によって死刑判決が出るのは当然かと思っています。これは,死刑に賛成か反対ということではありません。現行法に従って裁かれるべきということです。

当面執行はされないのでしょうね。死刑囚も被害者遺族も苦しみが続くのでしょうか。

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2011年7月26日 (火)

毎日新聞の「余録:英国の寛容さとしたたかさ」で思ったこと

 「UFOが実在する証拠を手に入れたかった」。米国防総省のコンピューターシステムに侵入した英国のゲーリー・マッキノン氏の記事がひところ英紙をにぎわせた。米政府は身柄引き渡しを求めたが、英国自閉症協会は反対運動を展開し、移送を認めようとした閣僚に批判が殺到した▲マッキノン氏には共感や意思疎通が苦手なアスペルガー障害がある。刑務所ではなく病院で治療するのが英国の精神保健法の決まりだ。刑罰による矯正効果が薄い人を刑務所に入れても社会防衛につながらないという合理的な考えが根底にある▲もちろん納得できる国民ばかりではない。殺人事件を起こして病院にいる障害者の顔写真を載せて世論をあおる新聞も珍しくない。それに対するメディア批判は厳しい。だが、批判する側は報道規制を求めるよりも、自らもメディアを利用して反論したり、啓発したりすることで情報発信の活発化へと向かっていく▲抜粋

今朝の毎日新聞の「余録」の一部です。

「刑務所ではなく病院で治療するのが英国の精神保健法の決まりだ。刑罰による矯正効果が薄い人を刑務所に入れても社会防衛につながらないという合理的な考えが根底にある。」

ある面納得がいくのですが,これは保安処分ではないのでしょうか?特にアスペルガー障害の人の場合,アスペルガー障害そのものは治療反応性がないので,治療するという概念は,犯罪につながらないようにするSSTといったようなリハビリ的なことも含んでいるのでしょうか?

日本の心神喪失者等医療観察法による処遇も刑罰ではありませんが,保安処分的要素は否めません。

障がいがあることを理解したうえで法の下の平等の上で裁くことは重要です。しかし,アスペルガー障害=矯正効果が薄いので精神科医療というのは,正直個人的には???責任能力に応じて医療的なケアの充実した刑務所などで処遇するという考え方はないのでしょうね。

これは下手をすれば「障がい者は危険だ,隔離せよ」になりかねないのではと思ったりもするのです。

確かに,犯罪をすることは,まずは個人の責任。その上で,障がい認知や周囲の理解,サービス利用等といった社会的な責任の要素がどこまであるのか,ということかと思うのです。

専門的な矯正教育や更生保護の在り方が,日本においてももっと研究されるべきなのでしょうね。

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2011年1月14日 (金)

子どもに対する性犯罪者の自宅訪問 再犯防止へ

 子供に対する暴力的性犯罪者の再犯率が高いことを受け、警察庁は13日、4月から出所者の所在確認を強化する方針を決めた。原則として接触しない従来の方針を見直し、警察官が自宅を訪問するほか、特に再犯の可能性が高いとみられる出所者は同意を得た上で定期的に面談も実施、再犯防止に向けた指導を行うという。

 対象になるのは、13歳未満の子供に対する強制わいせつや強姦などの暴力的性犯罪を犯して服役した出所者。平成17年に始まった再犯防止措置制度では、刑務所側が出所者に居住予定地を聞き取ったうえで警察庁に情報を提供。その後、管轄の警察署員が表札などで確認していた。

 警察庁が過去5年間に出所情報が提供された740人を分析した結果、105人が再検挙され、200人の所在が確認できない実態が判明。このため、4月以降は出所後の居住地を直接警察官が訪問し、居住実態を把握することにした。

 さらに、犯罪経歴が多く、20~30代の出所者の再犯率が高い傾向がみられたことから、出所時の年齢が50歳未満で過去に複数回の暴力的性犯罪を犯している者を対象に、同意のうえで数カ月に1回のペースで面談を実施。再犯防止に向けた助言や専門医の紹介を行うという。

 警察庁の安藤隆春長官は13日の国家公安委員会後の会見で、「対象者が警察の存在を身近に感じて自制心を保つことや、助言を受けて更正意欲を奮い立たせることを期待している」と述べた。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/484072/ から

日本版ミーガン法?でしょうか。

性犯罪は依存症ともいえる人もいて,更生保護を図るにあたってはそういった切り口も必要であると思います。

何人か知的障がいのある性犯罪者の対応をしましたが,自己の欲求を抑制することに困難があるといった生活支障をかかえている場合,入所型の事業所などで一定の枠の範囲での生活をし,性犯罪を起こさないようなプログラムを受ける必要もあるでしょう。

たとえば,「性問題行動のある知的障害者のための16ステップ」明石書店http://www.akashi.co.jp/book/b65924.html

などが参考になるでしょう。なお,この本はブログパーツの本棚にもありますから買ってください(^_^;)

性犯罪関係の相談は今でも時々あるのですが,正直なところこのまま社会に戻しては,被害者が増えるとともにご本人のためにもならないのでは?と思ってしまうケースもあります。被害者がトラウマをかかえてしまい,加害者の刑期以上苦しまなければならないということもありましょう。

性犯罪については,もっと強力な再犯防止プログラムを矯正施設などで行うことが必要なのではないかとも思います。さらに,性行為依存からの離脱を目指した更生施設も必要ではないでしょうか?ただ,場所の選択は限られて来るでしょうね。

たとえばお隣韓国では

韓国国会は2010年6月29日、児童への性犯罪者に対する再犯防止法案を可決した。中国新聞社が伝えた。

 この法案は「児童への性犯罪者に対する、再犯および常習化防止のための予防および治療法案」という名称で、通称「化学去勢法案」と呼ばれている。2008年に国会に提出され、審議を経て29日の国会で投票が行われた。その結果、賛成137、反対13、棄権30で賛成多数により可決された。

 通称「化学去勢法案」は、児童を対象とした性犯罪者について初犯再犯を問わず一律ホルモン変化などによる「化学的去勢」を行うことが明記されており、その対象は提案当初の25歳から19歳に引き下げられるとともに、児童の定義も13歳から16歳未満に拡大された。また、「化学去勢法案」という通称は尊厳を損なうとして、「性衝動防止のための薬物治療」という通称に改められるという。

 記事では、韓国の民間調査機関が19歳以上の国民700名を対象に行ったアンケート調査の結果を合わせて紹介した。アンケートによると、全体の75.6%が児童への性犯罪者に対して何らかの処置を行うことに賛成しており、うち38.3%が生殖器の切除など物理的な方法を、37.3%がホルモンを用いた化学的な方法を希望したという。(編集担当:柳川俊之)

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?d=0701&f=national_0701_020.shtml&y=2010

などという法案が通ってしまっています。さらにその前の2008年には,GPS足輪をつけるという法律が成立施行されています。

さらに厳格になり

【ソウル=水沼啓子】釜山市内で2月下旬に失踪(しっそう)した女児(12)が性的な暴行を受けた後、殺害された事件を受け、韓国内で性犯罪者に対する監視態勢強化や再犯防止に向けた動きが出ている。

 今回の事件で逮捕された男(33)は過去2度も性犯罪を起こし、計11年間の服役歴があった。1997年に9歳の女児への暴行未遂、2001年には30歳の女性を監禁し性的暴行を加えており、再犯の可能性も高かった。

 韓国では2008年9月に施行された「電子足輪法」に従い、児童に性的犯罪を加えた者や常習的な性犯罪者に衛星利用測位システム(GPS)付き足輪を装着し、24時間行動を監視できる。しかし、法律施行前に収監された性犯罪者はその対象外になっており、釜山の事件の犯人も法律施行前の犯行だったため、GPS付き足輪をはめていなかった。

 韓国で2008年に婦女暴行罪で検挙された被疑者は約8830人で、うち再犯者は約4420人と半数以上。性犯罪の場合、再犯の可能性が高いのが特徴だ。

 韓国法務省などによると、現在GPS付き足輪を装着しているか装着予定の性犯罪者は約310人おり、うちすでに出所し、足輪を着けて社会生活を送っている者は120人いる。

 また婦女暴行や痴漢などで収監中の性犯罪者は約5070人おり、そのほとんどは電子足輪法の施行前に起訴されており、現行法のままだと、出所後にGPS付き足輪をはめることはできない。

 釜山の事件に加え、こうした状況への懸念が、早期の法律改正の動きへとつながった。韓国では、法施行前に起訴された性犯罪者にもGPS付き足輪を装着できるよう、法律を改正することで与野党がこのほど合意。今月31日の国会本会議で通過する見通しだ。

 一方、韓国内では、性犯罪者に対して、薬物などを使って性衝動を抑える「化学的去勢治療法」の成立を目指す動きもある。ただ、こうした治療法の効果については賛否両論だ。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/korea/369100/

 なお,ミーガン法のあるアメリカでは,「性犯罪で有罪になった者が刑期を終えた後もその情報を登録し、一般に公開する制度を規定している。内容は各州によって差があるが、出所(仮釈放)時や転入・転出に際して、住居周辺の住民への告知が行われる。住居に性犯罪歴があることを示すしるしを掲げるよう求めている州や、累犯者に対してホルモン療法を強制する州もある。」(ウェキペディアから)

なので,韓国の方がアメリカより厳しいのではないでしょうか!

人権の問題もあってどこまでできるのか?というのもあるのでしょうが...日本と韓国のこの違いにはビックリです。小さい子どもがいる親,特に娘さんがいる親にとっては気になるところでしょうね。

ここまでしないと治安が維持できなくなるのも悲しいと言えば悲しいのですが...しかしながら,どんな犯罪をした人であっても,自立更生を図っていくことは当然ですし,刑期を全うすれば,一市民です。更生保護の仕事をする者は,どういった犯罪をした人であっても,再犯防止と自立更生を図らねばなりません。

一定期間少し社会から距離を置いたり,医学的手段も併用しながら,たとえ時間がかかっても,性犯罪者自立更生は図っていくべきで,そのためのシステムや制度作りが,ひいては安心な社会づくりにつながるのではないでしょうか?

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