経済・政治・国際

2021年10月28日 (木)

日本精神保健福祉士協会における今回の件についての報告を受けて

日本精神保健福祉士協会から構成員に対し「第49回衆議院総選挙における「地域共生社会推進に向けての福祉専門職議員連盟」役員の「推薦」と政治的姿勢について(ご報告)という文書が開示された。

超党派組織である地域共生社会推進に向けての福祉専門職議員連盟を支持していることやその理由,また,1人の議員だけではなく,全ての役員議員を推薦或いは支持していると書かれている点は,日本社会福祉士会とほぼ同じである。

一部誤解されている方がいるのでここで記しておくと,私は,超党派組織である地域共生社会推進に向けての福祉専門職議員連盟を公益法人である職能団体が支持すること自体は問題ないと思っている。そして,党派を超えてその役員を全て推薦・支持するのであれば,公益法人として優遇された法人の公平性や中立性は損なわれない。勿論,選挙運動として協力するのならば公示・告示後であることは言うまでもない。ちなみに,日本社会福祉士会は超党派で推薦・支持をしたとあるが,誰を推薦・支持したかについて事前に会員に何か図られたわけでもなく,公表もされていないことは,前回書いたとおりである。この組織の各党や野党に属する役員にも日本社会福祉士会が推薦・支持を出しているのかは,既に然るべき人物,組織が調査に入っていると聞いている。

しかし,今回のように,一つの政党に属する1人の議員を応援するのであれば話しは全く違うと思う。たとえそれが,この超党派組織の事務局長という役員だからといっても,この議員だけを都道府県会長会議で取り上げたのだから,特別扱いととられても仕方がないと思う。ましてや,衆院選挙告示前に推薦の依頼を受けて要請するなど,とんでもない話しである。よく公益法人が利益を考え与党を応援するために別法人をつくるというのがあるが,それに賛同する人が少ないということならば,その公益法人の構成員の意志ということになる。

日本精神保健福祉士協会と日本社会福祉士会の説明で違う点がある。日本精神保健福祉士協会は文書の中で,理事による会合で地域共生社会推進に向けての福祉専門職議員連盟への協力のあり方について再協議している。その結果,協会の政治的取り組みが構成員各位の国政選挙における投票行動に影響を及ぼす可能性が排除しきれないことを踏まえて,今後推薦には一層慎重であるべきとの確認をしたとしており。さらに,候補者個人からの要請により,都道府県支部長及び副支部長にも任意とはいえ推薦の協力を依頼したことについては誤解を招く恐れがあったと認識しているとしている。つまり,衆院選告示前であること等完全ではないにせよ,候補者個人からの要請により,推薦への協力を依頼したことについては,間違えであったとの認識を示していて,事実上の撤回である。この点は日本社会福祉士会の説明と全く違っている。さらに,国政選挙の際に依頼に応じて推薦するという既定方針についても,再検討していくとある。この点についても日本社会福祉士会の説明では微塵もうかがえない。しかしながら,その日本精神保健福祉士協会においても,公益法人が特定の議員への推薦を行った事の公平性や中立性の問題,選挙告示前に一般の構成員が知らない中で,メールで事を進めようとしたこと等については触れていない。

日本精神保健福祉士協会は,当たり前な事と前置きした上で,衆議院議員総選挙には構成員各位の自由意志で臨んでいただきたいとしている。私も含めて構成員は,日本精神保健福祉士協会に会費を納めている直接の構成員ということもあろう。であるならば,こういったことは構成員全体に知らせるべきである。

日本精神保健福祉士協会の今回の対応が,全てよしとは思わないが,少なくともコンプライアンスでの問題がなかったか検証したのがうかがえる。組織の選挙後の事を考えた対応とも言えるかもしれない。その点では日本社会福祉士会の対応と比較すると幾分ましなように思える。日本社会福祉士会においては,各都道府県社会福祉士会の本件における対応状況を明らかにして欲しいものだ,ちなみにこれも各会員レベルでの調査が始まりつつある。

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2021年10月27日 (水)

日本社会福祉士会の『福祉専門職支援議連』議員に対する推薦協力の経緯についての件

日本社会福祉士会会長が、各都道府県社会福祉士会会長宛に、与党衆議院議員への推薦状提出を書面で要請していたことについて,標題の説明文書が日本社会福祉士会のHPで公開されました。正直,これを読んで疑念が晴れた人は少ないのではないでしょうか。むしろ更に疑念が増した人が多いのではないでしょうか。

まず,1.ソーシャルケアサービス研究協議会の活動の一環としての依頼であることですが,ソーシャルケアサービス研究協議会が支援する超党派の福祉専門職支援議連をソーシャルケアサービス研究協議会の構成団体として,同議連への協力体制を強化することが総会で承認されたとあります。議連へ協力すること,即ち議連の事務局長の議員サイドから衆議院選挙での推薦要請があったので各都道府県会長に推薦要請をかけるということ,が筋の通ったことでしょうか?1人の議員を推薦することと同議連への協力は別の問題です。どうしても選挙協力するというのならば,してもよいか否かを会員に図るべきであり,そもそも議員を決めて応援するのならば,別に法人を作りそこに加入している人たちで進めるのが公益法人としての普通の姿です。この要請が,衆議院選挙の公示・告示前に行われたことも含め非常に疑問に思うのは,私だけでしょうか?

次に2.超党派の政党・候補者を対象とした活動であることですが,ここには,具体的な名前を出さず,本会は他にも同議連の候補者について党派を超えた推薦・支持を行っていますとあります。どの議員に対し推薦・指示を行ったのか全く示されていません。また,党派を超えようが議員への推薦・支持は政治的活動であり,直接公益法人が行うことには疑問がありますし,推薦・指示を誰が決めたかも明らかになっていません。百歩譲って同議連の候補者について党派を超えた推薦・支持を行ったというのならば,なぜ,この1人の議員だけ衆議院選告示前に各都道府県会長宛に推薦要請をかけたのでしょうか?そのことには全く触れられていません。

次に3.個人の投票を拘束するものではないことですが,当たり前です。書く必要も無いことです。しかしながら,会員は都道府県会に15,000円の会費を払い,その内5,000円は日本社会福祉士会に渡っています。会員の総意,もしくは多数決でこの議員への推薦が承認されているのならまだしも,会費を払っている会員に対して諮ることもせずにこのようなことを行うというのは,背任行為であると思います。

一部政党紙にて報道されたと前文に書いてありますが,政党紙だからこそ選挙中の今報道したのかと思います。選挙中で今報道すると通常のメディアの場合横やりが入る恐れがあります。ですので,他のメディアが報道しないのは,ある意味当然です。また,これと同様のことが,日本精神保健福祉協会でも起きており,しかも推薦依頼がかかって各支部に要請があったのは,日本社会福祉士会が推薦要請を出した議員と同じ議員です。

そもそもこういった行為は,ソーシャルワーカーの倫理要綱にある「信用失墜行為の禁止 自分の権限の乱用や品位を傷つける行いなど,専門職全体の信用失墜となるような行為をしてはならない」に抵触することではないでしょうか。

最後に,選挙運動について書きます。判例・実例によれば,選挙運動とは,「特定の選挙について,特定の候補者の当選を目的として,投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」とされます。今回の日本社会福祉士会,日本精神保健福祉士協会が行った,1人の議員に対する推薦要請は選挙運動です。さて,その選挙運動ですが選挙の公示・告示日から選挙期日の前日までしかすることができません(公職選挙法第129条)。違反した者は,1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処することとされており(公職選挙法第239条第1項第1号),公民権が停止されます(公職選挙法第252条第1項・第2項)この要請は明らかに衆議院選挙の公示・告示前です。もし,日本社会福祉士会がいうように,他にも同議連の候補者について党派を超えた推薦・支持を行っていて,それが衆議院選挙公示・告示前になされたのでしょうか?それこそ大問題です。

公職選挙法違反の司法の取締や告訴は,通常は選挙終了後行われます。このあたり個人宛でも結構ですので,法曹の皆さんのご意見も欲しいところです。

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2021年10月23日 (土)

日本社会福祉士会会長名で各都道府県社会福祉士会会長宛て特定の衆議院議員への推薦を要請した件について

日本社会福祉士会会長が、各都道府県社会福祉士会会長宛に、与党衆議院議員への推薦状提出を書面で要請していたことがSNS等で話題になっています。それだけではなく,しんぶん赤旗(https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-10-21/2021102115_01_0.html)でも報道されました。

日本社会福祉士会は公益社団法人で内閣府の管轄下にある名前の通り公益を旨とする法人です。このような,公益社団法人として,特定政党のひとりの議員を推薦するのは,公益法人としての公益性そのものに疑いを生じさせる行為であると思います。また,日本社会福祉士会の会員である各都道府県社会福祉士会は,個人の社会福祉士をもって構成されています。それぞれの会員には当然,思想信条の自由が保障されており,各会員に諮ることも無く,その社会福祉士が個人が属する各都道府県社会福祉士会に特定政党のひとりの議員を推薦するよう要請することは,会員の人権を踏みにじる問題です。いやしくも,権利擁護を仕事とするソーシャルワーカーの職能団体が行うことではありません。

政治に関わろうとする公益法人は福祉関係にも多くありますが,それらは別の団体を作りそこに加入する会員のみに推薦の要請をしていて,公益法人そのものが特定政党特定の政治家を直接応援するというのは前代未聞です。

さらに,日本社会福祉士会は,各個人会員が都道府県社会福祉士会に納めている会費の3分の1を財源としており,各会員に支えられていると言っても過言ではありません。ソーシャルワーカーの職能団体たるものが,個人会員を無視した,非民主的な行為を行っていることは極めて問題であると考えます。

このような状況になっても,会員に向けてすら何ら説明もしていない状況は誠に遺憾な限りです。会見を開くのが当然ですが,それが難しいというのならば,YouTubeなどSNSを使うことも可能ではないでしょうか。なお,2019年11月には,日本社会福祉士会のTwitterページで,この推薦を要請した議員のパーティーに日本社会福祉士会会長が公の立場で出席し,握手して頭を下げている写真を公開しています。それなのに,なぜ今回の件は沈黙するのでしょう。

既にあちらこちらで公開されているものですが,ここでも関係の文書を添付させてもらいます。また,私も賛同者となっている,社会福祉関係者有志による,日本社会福祉士会会長宛,10月18日付の『衆議院選挙特定党派候補者への推薦要請に関する社会福祉関係者の抗議声明』も添付します Photo_20211023131002 Photo_20211023130901 Photo_20211023131101   

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2014年3月31日 (月)

障害者総合支援法26年度施行 地域移行支援対象の拡大について

障害者総合支援法においては26年度から新たに施行される制度がある.
その中の一つが,地域移行支援における対象拡大である.

今まで,地域移行支援の対象となっていたのは,精神科病院からの退院と障害者支援施設からの退所のケースである.

この度新たに対象となるのが,救護施設等の生活保護施設,矯正施設(刑事施設及び少年院),更生保護施設等(自立準備ホーム含む)である.

救護施設には,特に依存症を含む精神障がいのある人が多い.また,矯正施設退所者や社会内処遇となった人を受け入れてきたという経緯がある.更生保護に寄与してきたのである.

ましてや,矯正施設や更生保護施設等からの退所者と言えば,勿論更生保護の対象者と言える.つまりは,障がいのある更生保護の対象者が矯正施設などからダイレクトに地域の地域移行支援を行なっている相談支援事業所にケースとして依頼がかかるということを意味している.

例えば,刑務所の社会福祉士が,他府県に帰住する矯正施設退所予定者について,帰住予定地の相談支援事業所に依頼をするということが可能になる.そこには保護観察所が関係しないので,一般調整なのか特別調整なのかは関係ないし,地域生活定着支援センターを絶対に介さないといけないものではない.ダイレクトに依頼がかけられるのだ.

矯正施設の社会福祉士や分類の担当者と,地域移行支援をやっている相談支援事業所の相談支援専門員ら,帰住予定地の障がい福祉担当行政などと地域移行会議を開いて地域移行支援を行なっていくということが考えられる.

しかし,矯正施設の分類級という点から考えると,同一府県内での活動では留まらないことになる.例えば,大阪矯正管区にはH1H2の男性を収容する少年院はなく,名古屋矯正管区の伊勢市にある宮川医療少年院になる.また刑務所にしても別の管区の施設に収監されているケースは少なくない.今まで以上に,地域移行支援のエリアが広がるといえる.単価が同一の地域移行支援事業では,かなりの負担になるだろう.

法務省側も体制を整えつつある.次年度から重点施設だけではあるが,非常勤の社会福祉士・精神保健福祉士を常勤化する.これは,拡大されて,そのうち全ての施設で常勤化するだろう.

法務省側としてみれば,矯正施設でのソーシャルワークを充実させ,厚生労働省予算の地域移行支援をつかって障がいのある矯正施設退所者対応を図るという図式が生まれるのだ.そのうち,市町村の基幹型相談支援事業所あたりで,矯正施設・更生保護施設等の担当者が出てくるかもしれない.小さな市町村では,支援の難しいケースが矯正施設から退所して地域移行ということになると,特に経験がなければその負担は大きいだろう.

ちなみに,矯正施設を退所しても行く所が無い人は,その矯正施設の所在地で地域移行も考えられる.つまり援護の実施者が矯正施設所在地になるというパターンだ.その施設は近いかもしれないが,ケース数が多くなるという可能性もある.

私は,更生保護に関わるこういった支援は特殊なものとして扱わず,地域で当たり前にあるケースとして地域で担っていくべきと主張してきた.矯正施設退所者のみならず,執行猶予になって拘置所から釈放される人などといった社会内処遇の人も含めて地域で対応するべきである.この地域移行支援の延長線上に,被疑者・被告人段階や少年審判におけるソーシャルワークがあることは言うまでもなく.また,都道府県レベルではなく地域でそれをソーシャルワークとして担っていくべきである.


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2012年8月29日 (水)

野党の問責決議案提出に思う~流れてしまう少年院法等改正法案~

私は支持政党もなく,古い言葉でいうとノンポリに属している.

ただ,ソーシャルワーカーとして福祉や社会保障の法律や施策には当然興味があるし,司法福祉の実践をしている者として,刑法や刑事訴訟法,少年法,矯正施設にかかわる法律などにも当然興味がある.

参議院で野田総理の問責決議案が可決されるらしい.これが可決されると,自公はもう審議に応じないらしく,国会は事実上の休会状態となってこのまま閉会してしまうらしい.

ついこの間まで,与党と自公が政局を見つめながら,可決に向けてやり取りをしていた消費税関連法案.そのおかげで,審議が後回しになった法案がいくつもある.

少年院法等の改正法案もその一つだ.参議院で審議中だった.この法案は,少年院や少年鑑別所の運営監視にあたる第三者機関を設置したり,収容されている少年たち等から,法務大臣への不服申し立ての制度化といった権利擁護にかかわる重要な改正法案である.

この法案は少年院で職員が収容されている少年に対して体罰を加えた事件を機に3月に閣議決定されたものであるが結果的には先送りになってしまう.

政局よりも少年たちの人権の方が大切なのではないかと思えてならないのは,私だけなのであろうか.

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2012年5月27日 (日)

次長課長の河本さんはスケープゴート?

笑いコンビ「次長課長」の河本準一さん(37)は25日、母親が最近まで生活保護を受給していたことを東京都内で開かれた記者会見で認め、一部を返還する考えを明らかにした。厚生労働省は今後、扶養可能な親族がいる場合は、家庭裁判所での調停を通じ、民法の扶養義務を果たさせるよう自治体に呼びかけるなど、運用を厳格化することを決めた。

 「母親は一人で僕と姉を育てた。面倒をみなければならないのに、自分がしっかりしていれば、嫌な思いをさせることもなかった。申し訳ない」。25日午前、河本さんは記者会見で涙ながらに何度も頭を下げた。

 先月、週刊誌の報道をきっかけに河本さんが批判にさらされるようになったのは、息子である河本さんには民法で母親の扶養義務があるからだ。

 河本さんによると、母親は14~15年前に病気で働けなくなり、生活保護を受けるようになった。仕事が全くなかった当時の河本さんにとって、母親を支援する余裕はなかったが、5~6年前から知名度が上がり収入も増えたため、生活費を支援するようになった。

 福祉事務所にも相談しており、違法とはいえないケースだが、援助は一部にとどまり、受給は先月、母親が打ち切りを申し出るまで続いていたという。

 この問題を巡っては、制度の運用や行政側の対応の課題も浮き彫りになった。

 同省によると、生活保護の受給申請があると、自治体は申請した人の親族に生活援助が可能かどうかを照会する。ただ、親族の回答はあくまでも自己申告で、仮に事実とは違う内容を説明されても見抜くのは難しい。また、経済力があっても親族が扶養を断ることは可能で、結局は申請した人の生活が困窮しているかどうかで受給の可否が判断される仕組みだ。

 受給が始まった後、自治体は原則年1回、親族の経済状態を調べ、受給者の扶養が可能かを再検討することになっている。しかし、担当のケースワーカーが確認を怠っているケースもあるとみられ、河本さんのケースでは、調査は約15年間に3回程度にとどまっていた。(読売新聞)

芸能人の方なので名前を出させていただきます.まるで不正受給をしているがごとく書かれていますが,扶養については行政と相談しながら実施しているし,同一市町村内に住むいわゆる特別扶養義務者ではないので,違法ではありません.

芸能人でテレビにも出ていて,高年収が世間にも知られているので,その母親が生活保護を受給していることが感情的に許されないので大騒ぎになっているとしか思えません.

生活保護を受給しながら立派に息子を育て,その息子が長い下積み生活の結果やっと売れた.

生活保護などとは無縁に育った政治家の方が,個人名を挙げて指摘されたようですが,まじめに働いて扶養の義務も行っていた人を吊し上げるよりも,覚せい剤売買やノミ行為,窃盗などの違法行為で利益を得ながら生活保護を受けている人たちを糾弾することのほうが筋ではないでしょうか?

河本さんのお母さんが気の毒です.

こういう目立つ人を吊し上げることで,対立する勢力に対して国民感情をあおることができるのかもしれませんが,そもそも問題は,前政権から続いている失業等の景気対策であり,生活保護の受給における厳格化は,納税者へのアピールにしか過ぎないと思います.そもそも生活保護受給を柔軟にしたのは前政権の厚生労働大臣でした.(もうべつの政党の代表ですが)

河本さんはスケープゴートに見えて仕方がないのです.芸能人であっても国民の一人です.ましてや,明日をも知れない職業なのに.

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2012年3月 7日 (水)

刑務所での性同一性障害のある人への処遇上の配慮→日本とドイツ

 性同一性障害で心は女性なのに、男として刑務所に収容された受刑者が不満を訴えるケースが相次ぎ、法務省は3日までに、刑事施設の処遇方針をあらため、全国の刑務所などで障害に配慮した対応を始めた。収容者の要望に応じて服装や髪形、入浴に配慮し処遇の改善を進める。

 刑務所で個別の要望に応じることは受刑者間の不満や差別につながるとして、これまで一律での運用を徹底してきたが、法務省は「障害を無視した運用は人権侵害との批判がある上、障害が社会的に知られるようになり、配慮が必要と判断した」として新たな指針を導入した。

 新指針は、性同一性障害の収容者に対して(1)診療と居室(2)入浴や身体検査時の対応(3)衣類・髪形など―について配慮するよう規定。

 収容先の刑務所は、従来通り戸籍上の性別に従うが、居室は希望によって単独室とし、個別での入浴も許可。戸籍上は男性でも長髪や女性用下着、シャンプーなどの所持を新たに認めた。

 刑務所内では性別適合手術やホルモン治療はできないが、精神科医の診察や臨床心理士によるカウンセリングを積極的に導入。刑務官の理解を向上させる教育も行う。

 法務省によると、全国の刑務所などの矯正施設で、医師によって性同一性障害と診断された受刑者は2011年末時点で男女8人。診断はされていないが性同一性障害とみられ、刑務所が配慮の対象としている受刑者は約30人に上る。

 刑務所や警察の留置場での処遇をめぐっては、性同一性障害の男性が女性として扱うよう求めて裁判や人権救済を申し立てるケースがここ数年増加。各地の弁護士会が「個性や人格を否定する人権侵害」として法務省と刑務所に改善を勧告してきた。(中國新聞)

もともとニューハーフの人は違う処遇をしているはずかと思います。このあたりは本間龍さんも著書で書いておられます。

しかし,性同一性障害という診断がはっきりしている場合で,男子と同じような扱いをするのは確かに問題があるといえましょう。

性同一性障害は 英語では gender identity disorderです。障害(がい)と日本語で翻訳される英単語はいろいろありますが,disorder はどちらかというと医学上の支障かとおもいます。しかし,性同一性障害は生活することに障がいがあるのですから,handicapかと思います。

性同一性障害のある人を同性の中で処遇するのは人権上差し障りがあるのはそうですが,その人の刑務所生活そのものに差し障りがあるとも思います。男性の刑務官に入浴や検身時に裸体を見られるなんて相当な苦痛があるのでしょうね。これって分類時に判明させていないと,入所の際いきなり裸を見られますし,当然拘置所でも性同一性障害に配慮した処遇がされないといけませんね。もっと突っ込むと留置所も?

一口に処遇に配慮と言いますが,きっと現場は大変だと思います。それなりに労力もいるでしょうし,単独室の確保なんかも必要でしょうから。

ただ,日本の刑務所も少しずつですが変わりつつあるんだなぁーと思いました。刑務所のみならず拘置所や少年院でも当然配慮した処遇が必要なのでしょうね。

少し違いますが,ドイツは国民の約5%が同性愛者で,ベルリン市長や緑の党の有名な国会議員,現在の外相が同性愛者です。同性愛者同士の結婚も法的に認められていて,外相も同性者と結婚していました。

ドイツ刑法には、かつて同性愛を禁止する条項があり,男性同士で性交した者は、懲役刑に処せられ,公民権を剥奪されると規定されていました。この刑法はナチス時代にさらに重罰化して,同性愛者の噂や雰囲気があるというだけでも検挙され,推定10万人もの人が同性愛者が収容所や刑務所に送り込まれたといいます。

しかし今や同性愛者の権利が確立しているドイツ。そのドイツの矯正施設って,当然同性愛者や性同一性障害者には配慮した処遇がされているのでしょうね。調べてみたい気がしています。

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2011年11月16日 (水)

生活保護について

生活保護の受給者数(7月時点)が約205万人と過去最多となったことを受け、反貧困運動に取り組む弁護士らで構成する生活保護問題対策全国会議が9日、東京都内で会見し、「問題とすべきは貧困そのものの拡大だ」などと訴えた。受給者らも同席し、仕事が見つからない厳しい雇用状況や社会の偏見に苦しむ様子を語った。

 会見で、代表幹事の尾藤廣喜弁護士は、保護を利用する8割が高齢・傷病・障害者世帯であることを踏まえ「年金や最低賃金の引き上げ、第2のセーフティーネットの充実など根本的に社会保障を充実させるべきだ」と述べた。

 精神疾患で働けなくなり、保護を受けている千葉県の女性(32)は「就労をせかす言葉に心が折れそうになったこともあるが、仲間の支えで週1回の仕事を始めた。生活保護が私を助けてくれた」と話した。【石川隆宣】毎日新聞

生活保護を受けることによって,生活が成り立つ方は多くいます。確かに生保ビジネスなど生保の甘い汁だけ吸っている人も居ますが。多くはつつましく暮らしておられます。

確かに,就労することは大切ですが,障がいを重くするような働き方は結果的に保護からの脱却を引き延ばすだけかと思います。

相談支援の仕事をしていて,生活保護制度はしょっちゅう使います。この制度が揺らぐと,日本はどうなるのでしょうか?

ただ,景気と雇用の問題,ニートの存在などを考えると生活保護にかかるお金がもっと膨大になるとどうなるんだろうとも思います。

所得保障のシステムを見直すべきなのでしょうね。

TPPの動向も関係あるような気もするのですが。

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2011年9月30日 (金)

ノルウェーの刑務所とサウジの女性の自動車運転むち打ち刑

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犯罪の少ない北欧のノルウェーで悲惨なテロ事件が起き,多くの人が殺害されたのは皆さんもよく覚えておられると思います。

そのノルウェーは,教育刑の要素が強く,最高刑は禁錮21年だそうで,現行法上,このテロ事件の被告人も禁錮21年になるらしいのです。日本ならば死刑のケースですね。

その上,ノルウェーの刑務所は日本の刑務所とは大きく異なるようです。下の写真は最近できた刑務所らしいのですが,それにしてもきれいですよね。美祢社会復帰促進センターの居室もすごいと思ったのですが,テレビだけではなく,シャワー,小型冷蔵庫付きで,なおかつトイレは個室のようです。

すごいでしょう。これってまるでビジネスホテルですよね。

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日本の刑務所と大違いです。昔,社会福祉士のスクーリングで泊まった新宿の安いビジネスホテルはもっとひどかったです。

ここでの禁錮21年と,日本の絞首刑,あるいは無期懲役との差はなんなんでしょうか?しかも日本の無期懲役は仮釈放まで平均30年以上です。

そうかと思えば,国王の一声でなくなってしまいましたが,女性なのに自動車を運転した罪でのむち打ち刑。正直びっくりしました。無免許運転でも罰金刑ですよね。それと女性が自動車を運転してはいけないとか,かってに移動したらいけないとか...

罪種類とと刑罰のありかた。国が違えばかなり違いますね。当然ですが...しかし,罪を犯すのも裁くのも,そして被害者も,国こそ違えど同じ人間なのにと思ってしまいます。

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2011年8月 1日 (月)

毎日新聞社説から~障害者基本法改正~

個別分野では「司法手続き」と「選挙」が注目される。刑事事件で障害者が判断能力の弱さにつけ込まれて自白調書を取られて冤罪(えんざい)事件になったケースが数々ある。改正法では個々の障害者の特性に応じた意思疎通の手段の確保、関係職員の研修などを義務づけた。また、障害者が選挙権を行使できるように配慮することも盛り込まれた。

毎日新聞の本日の社説の抜粋です。

まずは,司法手続きに書かれています。

「刑事事件で障害者が判断能力の弱さにつけ込まれて自白調書を取られて冤罪(えんざい)事件になったケースが数々ある。」,宇都宮事件などのことですね。このブログでも大阪の放火冤罪事件などをとりあげましたが,個人的にも冤罪ではないかというケースにかかわっていますし,冤罪でなくとも,事実とは違うのでは???といったまま裁判になっているようなケースもありました。

前にも書いたように,「やったんやな」(怖いので)「はい」,(調書を読み上げて)「これで違ってるところはないな」,(何を読んだのか意味がわからないけど)「はい」,なんてことは,絶対にないようになるということですね。

かなり前に,知的障がいのある人への判決言い渡しで,裁判官が気を使って一生懸命わかりやすく説明しようとしたのですが,慣れないことをしたのでますますわかりにくくなっていたといった笑い話のような場面を見ましたが,そういうこともなくなるのかなぁと思います。

「障害者が選挙権を行使できるように配慮することも盛り込まれた。」ということで,今,違憲を争って訴訟になっている,成年被後見人の選挙権,被選挙権の問題にも影響するのでしょうか?民法改正があるのかもしれませんね。

また,北欧のように,どんな障がいのある人でも理解できる選挙公報や政見放送などがされるようになるのでしょうか?

いずれにせよ,障害者権利条約の批准を見据えての障害者基本法改正です。努力規定が多いという問題もありますが,とりあえずこれは障がい者制度改革推進会議の初仕事というところなんでしょうか。

この件は,リーガルソーシャルワーカーとして,特にこの「司法手続き」と「選挙権の行使」について突っ込んで書いてみたいと思っていますのでよろしくです。

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